破産手続における民事留置権の取扱いについて取上げます。

破産手続における民事留置権

 破産手続において,民事留置権は,破産財団に対して効力を失って,消滅します。

 したがって,破産財団に属する財産について民事留置権を有する者は,目的物を留置する権限を失い,目的物を破産管財人に引き渡さなければなりません。

 なお,民事留置権の原因が双方未履行の双務契約に基づくもので,破産管財人が履行を選択すれば,同時履行の抗弁権を行使することで目的物の引渡しを拒むことができます。

 民事留置権者が同時に特別の先取特権を有する場合は,別除権者としての権利行使が可能です。

財団債権を被担保債権とする民事留置権

 上記のように,破産手続において民事留置権は消滅するのですが,財団債権を被担保債権とする民事留置権が消滅するのかどうかは,議論があります。

 被担保債権が財団債権であっても民事留置権は消滅するという見解が有力と言われています。しかし,随時弁済を受けることができる財団債権を被担保債権とする場合も留置的効力による間接的な弁済促進効が機能することを根拠に,民事留置権は消滅しないという見解もあります。

 なお,破産手続開始決定後に新たに生じた財団債権を被担保債権とする民事留置権は,効力を失うことはありません。