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破産手続における別除権


破産手続における別除権の取扱いを取上げます。

別除権とは?

 破産手続開始決定時に、破産財団に帰属する財産について担保権を有する者は、その目的財産について、破産手続によらずに権利を行使ができます(破産法65条)。この権利を別除権といいます。

 たとえば、破産者が所有する土地に、抵当権を設定している債権者は、破産手続と関係なく、抵当権を実行することにより、債権を回収することができます。

 別除権の「別除」とは、他の債権から別のものとして除外して、破産財団から優先弁済を受けさせる権利という意味と説明されています。別除権は、担保権が目的物に対して本来的に有する権利です。破産法によって、特別に規定された権利ではありません。

 なお、破産者の自由財産に対する担保権は、準別除権として、別除権に準じた扱いを受けます。

別除権者

 別除権者は、破産債権者である必要はありません。物上保証人や担保目的物の第三取得者が破産した場合、被担保債権は、破産者の破産手続上、破産債権ではありませんが、担保権者は、破産者の破産手続において別除権を行使することができます。

別除権と対抗要件

 破産手続において、別除権と認められるには、登記等の対抗要件(民法177条等)を具備していることが必要です。担保権が抵当権の場合は、抵当権設定登記が必要です。

別除権の行使方法

 別除権は、破産手続の制約を受けずに行使することができます。不動産に対する担保権の場合、不動産競売や担保不動産収益執行が、担保権の行使方法となります。

 別除権者が法律の定めた方法によらずに、目的財産の処分をする権利を有するときは、目的財産を処分することができます。動産質の簡易充当や債権質の直接取立てがこれに該当します。

別除権の放棄

 別除権者は、別除権を放棄することができます。別除権を放棄した場合、被担保債権が破産債権の場合、別除権者であった債権者は、破産債権者として権利を行使することができます。


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