破産手続における財団債権の分類


破産手続における財団債権の分類を取上げます。

財団債権の分類

 財団債権は、破産手続によらずに、随時弁済を受けることができる債権です(破産法151条)。財団債権は、破産手続を行うに当たり、必要な共益的費用・公益的見地・対価的牽連性への配慮など様々な考慮がされています。

 財団債権は、根拠規定・法的性質・財団不足の際の優先順位といった観点から以下のように分類されています。

一般の財団債権と特別の財団債権

 まずは、根拠規定による分類です。一般の財団債権は、破産法148条1項を根拠とする財団債権です。特別の財団債権は、一般の財団債権以外の財団債権のことです。

 もっとも、一般の財団債権と特別の財団債権で、性質が異なるものではありません。

 特別の財団債権としては、破産管財人が負担付贈与の履行を受けた際の負担受益者の請求権、保全管理人が債務者の財産に関し権限に基づいてした行為によって生じた請求権など様々なものがあります。

本来的財団債権と政策的財団債権

 次に、法的性質による分類です。本来的財団債権は,破産手続の遂行に付随して発生し,共益性・公平の見地から財団債権とされる債権です。政策的財団債権は、破産手続開始前の原因に基づく債権で、本来は破産債権としての性質を有するが、政策的配慮によって優先順位の格上げのために財団債権とされる債権です。

 政策的財団債権としては、破産手続開始前の原因に基づく租税債権の一部や労働債権が挙げられます。

財団不足時の優先順位による分類

 破産財団が財団債権を全額弁済できない場合、破産法148条1項1号及び2号の財団債権は、他の財団債権に優先します。

 これらの財団債権は、破産手続遂行の対価というべき債権であって、弁済が法律上、保障されなければ、破産手続の協力者を確保できず、破産手続の遂行が不可能になることが、優先される根拠です。

 破産管財人が、管財業務を遂行する過程で締結した契約に基づく相手方の債権が、148条1項2号の財団債権に該当するか?という問題があります。


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