破産手続で、国税滞納処分は、どのように扱われますか?
破産手続開始決定後の国税滞納処分
破産手続開始決定後に、国税滞納処分をすることは禁止されています(破産法43条1項)。この規定は、最高裁判例を明文化したものです。
租税等の請求権は、破産手続では、財団債権か優先的破産債権、劣後的破産債権として扱われます。
租税債権の破産手続における取扱いについては、以下の記事参照
財団債権については、原則として、優先関係は平等に扱われます。
破産手続開始決定後に国税滞納処分の執行を認めると、破産手続における租税等の請求権の優先性と矛盾する結果を招きます。したがって、破産手続開始後の国税滞納処分は禁止されています。
破産手続開始決定前の国税滞納処分
破産者が税金を滞納している場合、破産手続開始決定前にすでに国税滞納処分がなされていることがあります。破産手続開始決定前に、すでに行われた国税滞納処分は、どうなるのでしょうか?
破産法は、破産財団に属する財産に対して国税滞納処分が既になされている場合、破産手続開始の決定は、その国税滞納処分の続行を妨げないと規定しています(破産法43条2項)。
したがって、破産手続開始決定前に国税滞納処分がなされ、財産が差押えられている場合、その差押えは有効ということになります。
国税滞納処分
ここでいう国税滞納処分とは、国税徴収法に基づく滞納処分と国税滞納処分の例による処分のことを意味しています。後述のとおり、交付要求は含まれません。
破産手続と交付要求
交付要求は、滞納者の財産について強制換価手続が開始されている場合に、先行する手続の執行機関に交付要求書を交付することで参加し、国税等を徴収する手続です(国税徴収法82条)。
交付要求も滞納処分の一種です。しかしながら、自ら強制的に滞納国税等の徴収を実現するものではないので、禁止の対象外となっています。
破産手続においては、財団債権である租税等の請求権については破産管財人に、破産債権である租税等の請求権については裁判所に、それぞれ交付要求を行います。その後、財団債権として随時弁済を受けるか、破産債権として配当を受けることになります。