破産債権の種類を取り上げました(破産債権の種類と優先順位参照)。破産法には、破産債権とは別に財団債権が存在します。
財団債権とは?
財団債権は、破産手続によらずに、破産財団から随時弁済を受けることのできる債権です(破産法2条7項)。
財団債権は、破産手続の遂行に伴って必然的に生じる債権です。そのため、破産手続開始決定後の原因によるものが原則です。しかし、破産法は、政策的な理由から本来は破産債権である破産手続開始決定前の債権の一部を財団債権と扱っています。
破産債権と財団債権の違い
破産債権と財団債権には、以下のような違いがあります。
破産債権と財団債権の違い
(1)破産債権は破産手続内でのみ行使できるが、財団債権は破産手続外で行使可能
(2)破産債権は債権調査の対象だが、財団債権は債権調査の対象ではない
(3)破産債権は配当手続によらなければ弁済できないが、財団債権は任意の方法で弁済可能
(4)破産債権は免責の対象になるが、財団債権は免責の対象とならない
財団債権の特徴
上記の破産債権との違いも踏まえて、財団債権には次のような特徴があります。
債権調査の対象外
財団債権は破産手続の債権調査の対象にはなりません。したがって、財団債権の存否、金額に争いがある場合は、通常の訴訟手続きにおいて争われることになります。
随時支払可能
財団債権は破産財団が不足していない限り、随時、任意の方法で支払うことができます。破産財団が不足する場合は、按分弁済を行います(破産法152条1項)。
財団債権の優劣
財団債権にも種類があり、種類によって優劣があります。財団債権の中で最も優先されるのは、①破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権(破産法148条1項1号)、②破産財団の管理・換価・配当に関する費用の請求権(破産法148条1項2号)の2つです。その他の財団債権は、すべて同列に扱われます。
優先性
財団債権は、破産債権に優先します(破産法151条)。破産債権に対して配当を行うのは、財団債権をすべて弁済してからということになります。
財団債権を弁済できるほど破産財団がない場合、破産手続は異時廃止で終了します(破産法217条1項)。