租税債権の破産手続における取扱い


租税債権は、破産手続では、どのように扱われますか?

租税債権の区分

 平成16年の破産法改正前は、破産宣告前の原因に基づく租税債権は、全て財団債権とされていました。破産法改正によって、租税債権は、①財団債権・②優先的破産債権・③劣後的破産債権(破産債権の種類と優先順位参照)に区分されるようになりました。

①破産手続開始原因前の原因に基づいて生じた租税債権

 破産手続開始決定時に納期限が未到来のもの、納期限から1年を経過していないものは、財団債権となります(破産法148条1項3号)。それ以外のものは、優先的破産債権となります(破産法98条1項)。

 破産手続開始原因前の原因に基づくとは、破産手続開始原因の前に納税義務が成立していることを意味すると解されています。主な税金の納税義務の成立時期は次のとおりです。

納税義務の成立時期

①所得税:暦年の終了時

②源泉徴収による所得税:給与等源泉徴収をなすべき所得の支払の時

③法人税:事業年度の終了時

④消費税:課税資産の譲渡等をした時期

②破産手続開始後の原因に基づいて生じた租税債権

 租税債権が破産財団の管理・換価・配当に関する費用に該当するものは、財団債権になります(破産法148条1項2号)。それ以外のものは、劣後的破産債権となります。

③延滞税・利子税・延滞金としての請求権

 財団債権として扱われる租税債権の延滞税等は、本税と同じく財団債権となります。

 優先的破産債権として扱われる租税債権の延滞税等のうち、破産手続開始前のものは優先的破産債権として扱われます。破産手続開始後の延滞税等は劣後的破産債権となります(破産法97条3項・99条1項2号)。

 劣後的破産債権として扱われる租税債権の延滞税等は、本税と同じく劣後的破産債権となります。

④加算税・加算金

 本税の性質や発生時期にかかわらず、加算税・加算金は、全て劣後的破産債権となります(破産法97条6項・99条1項1号)。


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