個人再生申立後に債務者が死亡した場合の取扱い


破産申立後に破産者が死亡した場合の取扱いを取上げました。では、個人再生申立後に債務者が死亡した場合、その後の個人再生手続は、どうなるのでしょうか?

個人再生申立後の債務者の死亡

 再生債務者が死亡した場合、その相続人は、死亡時の再生債務者の資産と負債を承継します。一方、再生債務者が、個人再生手続の弁済原資と予定していた将来の収入は承継しません。

 個人再生手続は、再生債務と弁済原資である将来の収入が、手続きの重要な要素です。再生債務者が死亡したことで、相続人が将来の収入を相続することはないので、個人再生手続を維持することはできません。したがって、相続人が、再生債務者の地位を承継することもありません。

個人再生申立後、再生手続開始決定前の死亡

 申立後、再生手続開始決定前に申立人である債務者が死亡した場合、個人再生手続は続行する余地がありません。したがって、個人再生手続は当然に終了します。

再生手続開始決定後、再生認可決定確定前に死亡した場合

 破産と異なり、相続財産には再生能力が認められていません。したがって、個人再生手続は終了します。なお、相続人が相続債務を免れるためには、相続放棄(民法938条)を行う必要があります。

再生認可決定確定後に再生債務者が死亡した場合

 再生認可決定が確定することで、個人再生手続は終結します(民事再生法233条)。手続きは終結しますが、再生債務者の地位は、再生認可決定確定前と変わることはないと解されています。

 この場合も再生債務者の相続人は、再生債務者の地位は承継しません。相続人は、再生認可決定よって、変更された再生債務を承継します。相続人が、再生計画に従って債務を弁済すれば、再生債権者にとって不利益は生じません。

再生計画の変更、ハードシップ免責

 再生認可決定後に再生計画の履行が困難となった場合、再生計画の変更ハードシップ免責という手続きがあります。前述のとおり、相続人は再生債務者の地位を承継しません。したがって、相続人が、再生計画の変更・ハードシップ免責を申立てることはできません。


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