破産申立後に破産者が死亡してしまった場合、その後の破産手続きは、どうなるのでしょうか?
破産申立後、破産手続開始決定前に死亡した場合
破産申立後に、破産手続開始決定前に申立人である債務者が死亡した場合、破産手続は、当然に中断します。
相続人等が相続財産破産の続行申立てを行う(破産法226条)と、直ちに続行決定がなされます。その後は、相続財産破産事件として破産手続開始決定がなされます(破産法222条以下)。
また、相続開始後1か月以内に相続人等から続行申立てがなければ、期間経過後に破産手続は、当然終了となります(破産法226条2項・3項)。
同時廃止事件の場合
申立後に、破産手続開始決定前に申立人である債務者が死亡した場合、以下のようになります。
破産の同時廃止事件は、基本的に免責許可決定(破産法252条1項)を得ることを目的に申立てを行います。そのため、申立後に申立人が死亡した場合、続行申立てがなされることはまずありません。続行申立期間の経過後に、当然終了となることがほとんどです。
破産手続開始決定後に破産者が死亡した場合
破産手続開始決定後に破産者が死亡した場合、破産手続は、相続財産の破産手続として当然に続行されます。
この場合、すでに自由財産の拡張(破産法34条4項)がなされていたり、破産者が破産手続開始決定後に給料などの新得財産を取得している場合があります。拡張された自由財産や新得財産は、相続財産破産の破産財団を構成しません。
自由財産の拡張については、以下の記事参照
免責手続の取扱い
破産者が死亡すると、係属している免責手続は当然に終了します。同時廃止決定がなされている場合、破産管財事件が終了している場合のいずれも満足を得られなかった破産債権は、相続債務として残ります。
したがって、相続人が、相続放棄(民法938条)か限定承認(民法922条)をしていない場合は、相続人は、相続債権全額の行使を受けることになります。