個人再生の再生計画の認可決定後、支払いが困難となった場合、どうすればいいですか?
ハードシップ免責とは?
個人再生手続きでは、債務者は、再生計画に従って3年間(又は4年・5年間)、再生債権の弁済を続けます(民事再生法229条2項2号)。
しかし、再生債務者が、再生計画の履行途中で、再生計画の履行が困難となる場合があります。このような場合に、一定の要件を充足していれば、残りの債務を免責する制度があります。これをハードシップ免責といいます。
ハードシップ免責の要件
ハードシップ免責が認められる要件は、以下の4つです(民事再生法235条1項)。
ハードシップ免責の要件
①再生債務者がその責めに帰することができない事由により、再生計画を遂行することが極めて困難になったこと
②再生計画で変更された後の基準債権等に対して、4分の3以上の弁済があること
③免責することが、再生債権者の一般の利益に反しないこと
④再生計画の変更をすることが、極めて困難であること
再生債務者の責めに帰することができない事由
この要件は、ハードシップ免責の要件を緩くするとモラルハザードを招くため、再生債務者のコントロールができない事由に限定した上で、再生計画の履行が極めて困難なことを要件としています。
4分の3以上の弁済
再生債権の大半を弁済したことを要件としています。この要件を明らかにするために、ハードシップ免責の申立てに当たっては、銀行の振込明細書や領収書等を提出する必要があります。
再生債権者の一般の利益に反しない
この要件は、弁済済みの総額が、再生計画認可決定時の清算価値を下回らないことを意味しています。つまり、再生計画が清算価値の総額と同額を弁済する者である場合は、この要件を充たすことはありません。
再生計画の変更が極めて困難
個人再生手続きには、再生認可決定後、再生計画の変更という手続きがあります(民事再生法234条)。まずは、再生計画を変更し、弁済期間を延長して支払を継続していくべきという理由で、この要件が規定されています。
再生計画の変更については、以下の記事参照
再生計画の変更(個人再生の手続き)
個人再生は,再生計画に従って返済していく手続です。返済途中に返済が困難になった場合、再生計画の変更という制度があります。再生計画の変更の概要を解説します。