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個人再生と相続放棄


個人再生申立後に相続が発生した場合、再生債務者が相続放棄をすることはできるのでしょうか?また、相続放棄することは、個人再生の手続との関係で何か問題はありますか?

個人再生と相続放棄

 民事再生法は、再生手続中の相続放棄に関して何も規定していません。相続放棄は身分行為であるので、相続放棄を制限する理由はありません。

 したがって、再生手続開始決定の前後を問わず、相続放棄をすることは可能です。

清算価値保障原則との関係

 個人再生手続における再生計画の弁済率は、破産手続における配当を下回ることができません(民事再生法25条2号)。これを清算価値保障原則といいます。

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清算価値保障原則については、以下の記事参照

個人再生の最低弁済額

個人再生で最終的に、どのくらい債務を返済しないといけないのか?個人再生の最低返済額を説明します。

 再生計画認可決定前に破産手続で否認対象行為が存在する場合は、否認権行使によって回復が見込まれる金額を清算価値に上乗せする必要があります。

 相続放棄によって、取得できたはずの財産を取得しないことが否認対象行為になるのであれば、否認権によって回復が見込まれる金額を清算価値に上乗せする必要があります。

相続放棄は否認対象行為か?

 相続放棄は、相続人の固有の権利であって、債権者が合理的範囲を超えて干渉することは認められていません。そのため、破産手続開始決定前になされた相続放棄が破産債権者を害するものであっても、否認対象行為に該当しないと解されています。

 このように、相続放棄は否認対象行為に当たりません。したがって、個人再生手続において、再生債務者が相続放棄を行っても、清算価値に影響することはありません。


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