1回目の手形の不渡が支払停止に当たるか?が争われた最高裁判決を紹介します。
最高裁平成6年2月10日判決
破産手続開始原因である支払停止について、1回目の手形の不渡りが支払停止に当たるか?が争点になった判決です。
銀行取引停止処分を避けれなかったことを重視すると、2回目の手形の不渡を以って、支払停止になります。
なお、本判決は、否認の要件に関して、1回目の手形の不渡が、支払停止に当たるか?が問題になりました。
原審の判断
原審は、一回目の手形の不渡りの時点で、支払停止に当たると判断しました。
支払停止は支払不能であることを外部に表明する債務者の行為と解すべきものであるから、支払不能という客観的状態が存在する以上、一回目の手形不渡りであっても、支払停止に当たるものと解するのが相当である。
原審における調査嘱託の結果によれば、Aは一回目の手形不渡りを出した後、昭和60年12月6日から同月16日までの間に合計500万円余の手形小切手を決済し、さらに、同月16日と20日には合計600万円の預託金を積んで二回目の手形不渡りを回避していることが認められるけれども、このように、Aが一回目の手形不渡りを出した時点で既に多額の負債を抱え支払不能の状態にあったことからすれば、その後Aが合計1,100万円程度の資金を調達して二回目の手形不渡りを免れているからといって、判断を左右することはできない。
最高裁の判断
最高裁は、1回目の手形の不渡が支払停止に当たると判断した上記の原審の判断を是認しています。もっとも、事例判決にとどまります。