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破産手続開始原因である支払不能と支払停止


破産の申立てができるのは、どのような場合ですか?

破産手続開始原因

 債務者の財産状態が、破産手続の開始が必要な程度に悪化したと法律が定めた要件が、破産手続開始原因です。破産を申立てるには、破産手続開始原因があることが必要です。

 破産法は、法人・個人を問わず、支払不能を破産手続開始原因としています(破産法15条1項・16条1項)。そして、破産手続開始原因の立証を容易にするために、支払停止により、支払不能を法律上推定しています(破産法15条2項)。

支払不能

 債務者が、①支払能力を欠くために、②その債務のうち弁済期にあるものにつき、③一般的かつ継続的に弁済することができない状態を「支払不能」といいます。

 支払不能は、破産手続開始原因ですが、否認権相殺禁止の要件ともされています。

①支払能力

 支払能力は、債務者の財産・信用・労務の3つの要素から構成されるとされています。3つの要素のどれをとっても、債務を支払う能力がないことが必要です。

 支払不能は客観的な状態です。債務者自身が、支払不能と判断しても、客観的に支払不能ではないと判断されることもあります。

②弁済期にある債務

 弁済期が到来していない債務を将来的に弁済できないことが予想される場合、支払不能といえるか?という問題があります。

 伝統的な通説は、弁済期が到来している債務を弁済している限り、弁済期が到来していない債務を将来弁済できないことが確実に予想されても、支払不能ではないと解しています。

③一般的かつ継続的

 一般的とは、弁済することができない債務が、債務者の債務の全部又は大部分を占めているという意味です。

 継続的という要件は、一時的な資金の不足から弁済できない場合を除外する趣旨です。

支払停止

 支払停止は、支払不能であることを外部に表示する債務者の行為です。支払停止自体は、破産手続開始原因ではありません。支払停止は、支払不能を推定させる事実です。また、偏頗行為否認の要件である支払不能を推定させる事実でもあります(破産法162条3項)。

 どのような行為が、支払停止なのか?という問題があります。一般的かつ継続的に弁済できないことを債権者へ通知する行為、張り紙、広告等が典型です。黙示的な行為としては、夜逃げや廃業が挙げられます。

 典型的な支払停止事由として、手形の不渡りがあります。手形の不渡り自体は、特定の手形債権者に支払をしないことです。資金不足により、手形が6か月以内に2回不渡りになると、銀行取引停止処分になります。にもかかわらず、手形の不渡りが生じたのは、一般的かつ継続的に債務を弁済することができないことを表示したといえます。

 債務者が弁護士と破産申立ての方針を決めただけでは、外部への表示行為がなされていないので、支払停止には当たりません。

弁護士への債務整理の依頼と破産手続開始原因である支払停止

破産手続における否認権行使の関係で、弁護士に破産申立てを依頼した時点で、支払停止に当たるか?を判断した最高裁判決を紹介します。


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