年金担保貸付を受けていますが、個人再生手続では、どのように取り扱われますか?
年金担保貸付
年金受給権を譲渡したり、担保を設定することは法律上、認められていません。唯一、法律で認められていたのが、独立行政法人福祉医療機構からの年金担保貸付です。
福祉医療機構の年金担保貸付は、厚生年金・国民年金などを受給している人が、年金額の満額又は定額を返済に充当する方法で、住居・医療などの必要な資金の貸付けを受ける制度です。
もっとも、令和2年の法改正により、令和4年3月末で年金担保貸付の申込みは終了しました。
なお、令和4年3月末時点で貸付残高がある場合の返済方法・返済期間に変更はありません。
個人再生と年金担保貸付
福祉医療機構の年金担保貸付は、再生債権に該当します(民事再生法84条1項)。したがって、債権者一覧表に記載する必要があります。。
ただし、年金額の満額又は定額が返済に充当されます。したがって、年金受給権を担保とする別除権付債権(民事再生法53条1項)といえます。そして、その担保不足額は0円です。
債務者は、年金担貸付の返済が終了するまで、年金の全部又は定額を受取ることができません。したがって、その点を考慮して、再生計画案を作成する必要があります。場合によっては、履行可能性がないと判断されることもあるでしょう。