住宅ローンである住宅資金貸付債権が債権譲渡された場合、個人再生手続で住宅資金特別条項を利用することはできますか?
住特条項を利用できない場合
住特条項を用いた再生計画の認可決定が確定すると、債務者が再生計画に従って弁済を継続する限り、住宅資金貸付債権を被担保債権として、自宅不動産に設定された抵当権の実行を回避することができます。つまり、住宅ローンのある自宅不動産を残すことができます。
しかし、住宅資金貸付債権が法定代位によって取得された場合、住特条項を利用することはできません(民事再生法198条1項本文括弧書)。
保証人等の第三者が債務者に代わって、住宅ローンを支払い、弁済者代位によって住宅資金貸付債権を取得した場合に、住特条項による分割払いを強いるのは酷であることを考慮したものです。ただし、例外的に、巻戻しによって、住特条項を利用できる場合があります。
巻戻しの詳細は、以下の記事参照
住宅ローン滞納後に、保証会社に代位弁済されても個人再生で住特条項は使えますか?
住宅ローンを滞納して、保証会社が代位弁済した後でも個人再生手続で住特条項を用い、自宅不動産を残すことができるのか?を解説します。
住宅資金貸付債権が債権譲渡された場合
債権譲渡は、債権の同一性を維持したまま、譲受人に譲渡されます。そのため、住宅資金貸付債権の性質は、維持されたままです。
つまり、上記の住特条項を利用できない場合には、該当しません。債権譲渡によって住宅資金貸付債権を取得した者は、上記の第三者に該当しないと解されています。
したがって、住宅資金貸付債権が債権回収会社に譲渡されたり、証券化されているような場合にも、住特条項を利用することができます。巻戻しのような期間制限もありません。