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破産者の居住制限


破産申立後に、自宅を引っ越すことは問題ありませんか?

破産者の居住制限

 破産手続による制約の一つが、破産者の居住制限です(破産法37条1項)。

 破産者には破産管財人等に対して破産に関して必要な説明をする義務があります(破産法40条)。この説明義務を実効的なものにするために、憲法の居住・移転の自由が、破産者に関しては、制限されています。

居住制限の対象者

 居住制限の対象となる破産者は、自然人に限られます。ただし、破産者の法定代理人・支配人・理事・取締役・執行役についても破産法37条1項が準用されます。したがって、会社の破産の場合も、注意が必要です。

居住地

 居住地とは、破産手続開始決定時に、現に居住する場所のことです。通常は、民法上の住居所や住民票上の住所と一致します。しかし、破産者の実態によっては、必ずしも一致するわけではありません。

居住地を離れる

 制限されるのは、「居住地を離れる」ことです。典型的なのが引っ越しです。散歩や一時的な外出は、含まれません。したがって、普通に通勤するの分には、支障はありません。

 引っ越し以外にも、2泊以上の宿泊を含む旅行・出張、海外旅行、入院も「居住地を離れる」に当たると解されています。海外旅行については、1泊であっても「居住地を離れる」に当たるとされています。

裁判所の許可と管財人の意見

 憲法が居住・移転の自由を保障しているので、裁判所は破産手続に対する協力の確保、妨害防止の観点から問題があることが明らかでない限り、許可すべきと指摘されています。

 破産法上の要請ではありませんが、裁判所は許可に先立って、破産管財人の意見を聴くことが相当であると解されています。実際、裁判所への許可申請に当たっては、管財人から同意を得た上で申請するという運用がなされていることが多いです。

違反した破産者への制裁

 裁判所の許可を得ずに、居住地を離れた破産者に対して罰則は定められていません。ただし、免責不許可事由の一つになります(破産法252条1項11号)。


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