破産の免責不許可事由ー調査協力義務違反ー


破産の免責不許可事由の一つである裁判所が行う調査に対する協力義務違反を取上げます。

裁判所が行う調査に対する協力義務違反

 破産手続において、裁判所が職権で破産者や破産財団に関して自ら調査し又は破産管財人に調査をさせることがあります。破産者が調査に対して、説明を拒否したり、虚偽の説明をすることは、裁判所の監督下での破産手続の適正な遂行を妨げることになります。そこで、破産法は、破産者がこれらの調査に協力しないことを免責不許可事由としています(破産法252条1項8号)。

 なお、破産手続開始申立ての際の審尋における説明義務違反に対しては、刑事罰が規定されています(破産法271条)。

裁判所の行う調査

 裁判所は、職権で破産手続に関して調査を行うことができます(破産法8条2項)。裁判所が行う調査は、破産手続開始申立に伴う破産原因に関するもの、破産財団の内容・管理、自由財産の有無・内容、債権調査の関連事項、破産手続開始前の契約関係、否認権対象行為の有無など破産手続全般に及びます。

 裁判所は、破産者を審尋し、書面の提出を求める等、適宜の方法で調査を行うほか、破産管財人を通じて調査を行うことができます。

説明拒否、虚偽説明

 説明拒否には、審尋期日等において説明を拒むことはもちろん、正当な理由なく審尋期日に出頭しないことも含むとされています。

 虚偽の説明とは、故意に虚偽の説明を行うことはもちろん、当然、説明すべき事項について自ら積極的に説明をしないことを含むと解されています。

 行為の主体は、破産者です。破産者が第三者を通じて、これらの行為を行わせても、第三者を道具として利用した場合を除いて、免責不許可事由には該当しないとされています。


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