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破産債権に関する訴訟と続行命令


破産債権に関する訴訟に関する最高裁判決を紹介します。

最高裁平成25年7月18日判決

 訴訟の当事者の一方が破産手続開始決定を受けた後、破産債権である訴訟の請求権について債権届出がなかった事案です。

 裁判所が、破産管財人に続行命令を行ったことが問題になりました。

事案の概要

 第1審は、平成23年3月17日、被上告人の請求を全部認容する旨の仮執行宣言付きの判決を言い渡した。

 これに対し、上告人は、控訴を提起するとともに、上記仮執行宣言に基づく強制執行により損害を受けたなどとして、本件申立てをした。

 被上告人は、平成23年6月7日、破産手続開始の決定を受け、Bが破産管財人に選任された。

 原審は、平成23年5月30日、口頭弁論を終結し、同年6月27日、上告人の控訴を棄却する旨の判決を言い渡すとともに、同年10月7日、Bに対し、被上告人の訴訟手続の続行を命じ、同判決をBに送達した。

 被上告人の破産手続は、上告人から本件申立てに係る債権についての届出がされないまま、平成24年4月11日に終結した。

最高裁の判断

 最高裁は、続行命令は違法と判断しました。しかし、すでに破産手続が終了し、その間に、管財人が関与したのが判決の送達のみであることを理由に、結局、違法性は治癒されたと判断しました。

 民訴法260条2項の裁判を求める申立ての相手方が破産手続開始の決定を受けた場合、上記申立てに係る請求権は、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、財団債権に該当しない。

 したがって、上記申立てに係る請求権は、破産債権であるというべきである。

 被上告人が破産手続開始の決定を受けたというのであるから、上告人は、被上告人の破産手続において、本件申立てに係る請求権につき破産債権として届出をすべきものであって、その調査において、上記請求権について破産管財人が認めず、又は届出をした破産債権者が異議を述べた場合に、異議者等の全員を相手方として、本件申立てに係る訴訟手続の受継の申立てをすべきことになる。しかるに、原審は、上告人が上記の届出をしていないにもかかわらず、直ちに破産管財人であるBに対して本件続行命令をしたものであって、本件続行命令のうち本件申立てに係る部分は、違法であるというべきである。

 本案請求と民訴法260条2項の裁判を求める申立てに係る請求とが併合審理されている場合、上記申立ては、本案判決が変更されないことを解除条件とするものであり、その性質上、本案請求に係る弁論は分離することができない。

 したがって、上記申立てについての適法な受継がされないまま、本案請求に係る部分についてのみ、当事者が受継の申立てをし、又は受訴裁判所が続行命令をすることは許されない。

 しかしながら、被上告人の破産手続は既に終結しているのであって、上告人が経るべき破産法所定の手続はもはや存在しない。そして、記録によれば、本件続行命令がされてから上記破産手続の終結までにBが当事者として関与した訴訟手続は、上告人の控訴を棄却する旨の原判決の送達を受けたことなどにとどまる。したがって、上記破産手続の終結により、原審の上記違法の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当である。


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