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個人再生手続における否認対象行為


破産法には管財人の権限として否認権を規定しています(破産手続における否認権について参照)。個人再生手続きにおいて、債務者が否認対象行為を行った場合、どのように扱われるのでしょうか?

個人再生手続では否認の規定は適用されない

 債務者が支払い不能後に一部の債権者に偏波弁済を行った場合、通常再生手続では、否認権の対象になります(民事再生法127条)。

 しかし、個人再生手続は、個人の債務者の簡易・迅速な再生を図るという観点から、民事再生法の否認の規定は、適用されません(民事再生法238条)。

再生手続開始決定前の取扱い

 再生手続開始決定前に否認対象行為の存在が判明している場合、破産手続による否認権行使を回避するという不当な目的のために、個人再生手続開始申立を行ったとして、申立てが棄却される場合があります(民事再生法25条4号)。

 そのため、否認対象行為が存在する場合は、申立てに際して、具体的な内容や経緯を裁判所に報告するとともに、不当な目的のための個人再生申立てではないことを説明する必要があります。

再生手続開始決定後の取扱い

 前述のとおり、個人再生手続には、否認の規定が適用されません。したがって、否認対象行為が存在することを以って、再生手続が廃止されることはないと考えられます。

 しかし、否認対象行為の存在が、個人再生手続に何の影響もないというわけではありません。清算価値保障原則との関係で、考慮されることになります。

 というのも、現在ある財産の価値に否認権を行使することで回復されるであろう財産の額を上乗せした金額を上回る再生計画案を策定しないと、破産の場合の配当額を下回り、清算価値保障原則に反する(民事再生法231条1項・174条2項4号)ことになります。

 したがって、否認対象行為を前提として、回復されるべき財産の額を清算価値に上乗せした上で、再生計画案を策定しなければなりません。

 否認対象行為によって逸出した財産の額が少なく、清算価値に上乗せしても、債権額を基準として最低弁済額要件を下回る場合は、結果として、否認対象行為は個人再生手続に影響しないことになります。

 一方、否認対象行為によって逸出した財産の額が多すぎて、清算価値に上乗せすると、弁済額が多額になり、再生計画を履行できない場合は、その時点で再生手続は廃止されます。

 否認対象行為を前提とせずに再生計画案を提出した後に、否認対象行為の存在が判明した場合は、再生計画案を決議に付することはできず、再生計画案の不認可事由になります。


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