水道光熱費使用料債権の破産手続きでの取扱い


水道・電気・ガス等の光熱費を滞納している場合、破産手続では、どのように取扱われますか?

水道・電気・ガス代の滞納と破産手続

 光熱費の水道・電気・ガス代を滞納している場合、破産手続でどのように扱われるか?という問題は、滞納している料金が①破産手続開始決定前に発生してのか、破産手続開始決定後に発生したのか、②滞納しているのが自然人か法人かによって、取扱いが異なります。

破産手続開始決定前に発生した使用料債権

 上水道・電気・ガスの使用料債権が破産手続でどのように扱われるか?は、破産者が自然人か法人によって、異なります。

破産者が自然人の場合

 上水道・電気・ガスの供給は、日用品の供給(民法306条4号・310条)に該当します。破産手続開始決定前6か月間の供給についての使用料債権は、一般の先取特権の対象になります。

 したがって、破産手続開始決定前6か月間の使用料債権は、優先的破産債権(破産法98条1項・3項)になます。その他の使用料債権は、一般破産債権になります(破産債権の種類と優先順位参照)。

破産者が法人の場合

 上記の民法の規定の債務者に、法人は含まれないと解されています。そのため、破産者が法人の場合には、一般の先取特権が発生することはありません。したがって、破産者が法人の場合は、一般の破産債権になります。

継続的供給契約

 上水道、電気、ガスの供給契約は、継続的な給付を目的とする継続的供給契約に該当します。したがって、破産法55条の適用があります。

 破産手続開始申立てから破産手続開始決定までの間の供給についての使用料債権は、財団債権になります(破産法55条2項)。破産手続開始申立日の属する期間内の供給分も財団債権になると解されています。

破産手続開始決定後の使用料債権

 破産手続開始決定後の上水道・電気・ガスの使用料債権は、使用された目的によって、破産手続きにおける取扱いが変わります。

破産管財人が業務遂行する上で使用した場合

 この場合、これらの使用料債権は、破産財団の管理又は換価に関する費用として、財団債権となります(破産法148条1項2号)。

自然人が日常生活のために使用した場合

 破産者が自然人の場合、引き続き、日常生活において、上水道・電気・ガスを使用するため、使用料債権が発生します。この場合は、破産財団の管理又は換価に関する費用ではありませんので、財団債権ではありません。

 破産者の自由財産上の法律関係に基づくものとして、破産者自身が負担する債権となります。

下水道の使用料債権

 下水道の使用料債権は、租税等の請求権と同じ扱いを受けるので、他の使用料債権と取扱いがことなります。

 破産手続開始決定前の下水道の使用料債権のうち、開始当時に納期限が到来していないもの又は納期限から1年を経過していないものは、財団債権になります(破産法148条1項3号)。

 破産手続開始決定後に破産管財人が業務遂行するために使用した場合、下水道の使用料債権は財団債権になります(破産法148条1項2号)。


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