破産手続における明渡未了の事業用賃貸借物件がある場合の大阪地裁の運用


明渡未了の事業用賃貸借物件がある場合、破産手続ではどのように扱われますか?

大阪地裁の一般管財事件の引渡予納金の最低額

 大阪地裁の一般管財事件の引継予納金の最低額は、債権者数が100名未満の場合、20万5,000円です。この金額は、破産申立前に、事業用賃貸借物件の明渡が完了していることを前提にしています。

従前の大阪地裁の運用

 明渡未了の事業用賃貸借物件がある場合、明渡費用の見積書を提出するとともに、最低引継予納金額にその見積額を上乗せした額を引継予納金の額としていました。

平成25年1月以降の大阪地裁の運用

 明渡費用を上乗せした引継予納金を確保するために、債務者が財産を安く処分したり、引継予納金の準備に時間がかかり否認対象行為が生じてしまうといった弊害が出てしまうことがありました。

 そこで、平成25年1月から大阪地裁では、以下のような新しい運用が開始されました。この場合の物件の件数は、主たる明渡未了物件と同じ敷地にある倉庫・物置といった附属物件は独立してカウントしないとされています。

 なお、従前の運用どおり、明渡費用の見積額を引継予納金に上乗せした金額を引継予納金とすることもできます。明渡未了の物件が4つ以上ある場合は、従前の運用どおり見積書を提出することになります。

(1)明渡未了物件が1つの場合

 法人・自然人にかかわらず、引継予納金を50万円以上準備できれば、破産手続開始決定がなされます。ただし、債権者数が、100名以上200名以下の場合は、法人80万円・自然人60万円になります。

(2)明渡未了物件が3つまでの場合

 引継予納金を100万円以上準備できれば、破産手続開始決定がなされます。債権者数が、100名以上200名以下の場合も同額です。


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