破産申立における準自己破産を取上げます。
準自己破産とは?
自己破産という言葉を聞いたことのある人は、多いと思います。破産申立てを債務者が自ら行うことから、自己破産と呼んでいます。
会社の破産申立ての場合、通常は、①取締役全員の同意を得るか、②取締役会決議に基づいて自己破産を行います。しかし、様々な理由で、取締役全員の同意が得られないことがあります。
そこで、破産法は、法人の理事・取締役・業務を執行する社員又は清算人が、法人の破産申立てをすることを認めています(破産法19条)。これを準自己破産といいます。
代表権のない取締役等の役員に破産申立ての権限を認めることで、速やかに破産手続開始を可能するために、準自己破産が認められています。
準自己破産の手続き
大阪地裁では、取締役会議事録がない場合又は取締役全員の同意がない場合の会社の破産申立ては、準自己破産として取り扱うという運用です。
準自己破産による破産申立ての場合は、破産手続開始原因となる事実を疎明しなければなりません。
破産手続開始原因については、以下の「破産手続開始原因である支払不能と支払停止」と「法人の破産手続開始原因である債務超過」を参照
破産手続開始原因である支払不能と支払停止
破産を申立てるには、破産手続開始原因があることが必要です。 破産手続開始原因は、支払不能です。支払停止があると、支払不能であることが推定されます。
準自己破産の場合、申立人は取締役個人です。したがって、破産申立てを弁護士に委任する際の委任状は、取締役個人からもらうことになります。
準自己破産の申立人は取締役個人ですが、予納金を法人の財産から支出することが、認められています。そのため、申立てに際して、財産組入上申書を裁判所に提出します。