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賃貸人の破産と賃貸借契約


賃借人が破産した場合の賃貸借契約の取扱いについて取り上げました(賃借人の破産と賃貸借契約)。では、賃貸人が破産した場合、賃貸借契約は破産手続でどのように扱われるのでしょうか?

賃貸借契約の処理

 賃貸人が破産した場合も、破産管財人は、破産法53条に基づいて、①賃貸借契約を解除するか、②履行を選択するかを決めます。

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詳しくは、以下の「破産手続における双方未履行の双務契約」を参照

破産手続における双方未履行の双務契約

破産手続において、双方未履行の双務契約がどのように処理されるのか?を解説します。

 しかし、賃借人が対抗要件を具備している場合(借地借家法10条1項等)、管財人は、賃貸借契約を解除できません(破産法56条)。

 賃貸借契約を解除できない場合、賃借人の有する使用収益権は、財団債権になります。管財人は賃借人に対して、継続して目的物を使用収益させなければなりません。

敷金の処理

 敷金は、賃貸借契約終了後、明渡しまでに生じる賃貸人の債権を担保するものです。敷金返還請求権は、明渡完了時に、未払賃料等の被担保債権を控除して残額があることを条件に、残額について具体的に発生する停止条件付債権です(民法622条の2)。

 以上のことから、賃借人は敷金返還請求権を自働債権、賃料請求書を受働債権とする相殺をすることができません。しかし、賃借人が管財人に対して賃料を支払う場合、敷金返還請求権の限度で弁済額の寄託を請求することができます(破産法70条)。敷金返還請求権が発生した際に、寄託金から優先的に敷金返還請求権を回収することができます。

 敷金返還請求権は、敷金契約によって発生します。敷金契約は賃貸借契約とは別個の契約です。したがって、管財人が賃貸借契約の履行を選択した場合・解除を選択した場合のいずれの場合も、財団債権ではなく、停止条件付破産債権です。


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