住宅ローンについて抵当権が設定されている自宅に仮差押えがなされた場合、個人再生手続きで住特条項を利用することはできるのでしょうか?
個人再生手続における仮差押えの取扱い
再生手続き開始決定により、個人再生申立前になされた再生債権に基づく仮差押え・差押え等の手続は、中止されます(民事再生法39条1項)。
中止された仮差押え・差押え等の手続は、再生計画認可決定が確定によって、失効します(民事再生法184条)。
住特条項との関係
再生債務者が、住宅の所有権を失うと見込まれる場合は、個人再生手続で住特条項を利用できません(民事再生法230条2項・202条2項3号)。
上記のとおり、個人再生申立前になされた仮差押え・差押えの手続は、最終的には失効します。そのため、個人再生申立前に仮差押え・差押えがなされても、住宅の所有権を失うとは見込まれません。
したがって、個人再生申立前に、自宅不動産に仮差押えや差押えがなされたとしても、個人再生手続で住特条項を利用することが可能です。
仮差押登記の抹消
再生計画認可決定が確定すれば、仮差押えや差押えの効力は、失効します。しかし、仮差押え等の登記は、当然に、抹消されるわけではありません。
仮差押えや差押えを行った債権者が取下げない場合は、民事保全法38条の事情変更による取消申立てを行います。取消決定を得ることで、仮差押登記を抹消することができます。
大阪地裁の執行部の運用では、再生計画認可決定とその確定証明書を民事執行法39条1項1号又は6号の文書に該当するとして、執行処分の取消しを求めることができます。