破産申立をどの裁判所に行うのかという,破産事件の管轄について取り上げます。

破産事件の管轄

 破産法は,原則的な管轄と一定の関係にある債務者が同時に破産を申立てをする場合の管轄を定めています。また,大規模な破産事件について迅速かつ適正な事件処理を行うための特則も定められています。

破産事件の原則的土地管轄

 破産事件の原則的な土地管轄は次のとおりです。

 (1)債務者が営業者:主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所

 (2)債務者が営業者で外国に主たる営業所がある:日本における主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所

 (3)債務者が営業者ではない又は営業所を有しない:債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所

 主たる営業所とは,通常,登記上の本店所在地のことです。登記上の本店所在地と実際の本社機能を有する本店が一致しない場合は,実質上の本店所在地が主たる営業所になります。

具体例

 たとえば,京都市に居住している債務者が大阪市内で事務所を構えて自営業を営んでいる場合,破産申立ては,京都地裁ではなく,大阪地裁に行います。

補充的土地管轄

 原則的土地管轄が存在しない場合,債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が補充的土地管轄として認められます。

一定の関係のある複数の債務者が同時に破産申立てをする場合

 次の①~⑤について,いずれか一方の破産手続が係属中の場合,他方の破産手続について,先行する破産事件の裁判所に管轄が認められ,破産申立てをすることができます。

 ①親会社と子会社,親会社と連結子会社

 ②法人と代表者

 ③相互に連帯債務者の関係にある個人

 ④相互に主たる債務者と保証人の関係にある個人

 ⑤夫婦

 なお,①~⑤の場合,2つの破産申立てを同時に行うことも可能です。

具体例

 京都市に自営業者ではない妻と居住している債務者が大阪市内で事務所を構えて自営業を営んでいる場合,自営業者である債務者は大阪地裁に破産申立てを行います。妻も破産申立てを行う場合,京都地裁に申立てをすることも大阪地裁に申立てをすることもできます。

大規模事件の管轄

 大規模事件については,次の2つの特則が規定されています。

 (1)破産債権となるべき債権を有する債権者数が500人以上:原則的土地管轄又は補充的土地管轄の管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所

 (2)破産債権となるべき債権を有する債権者数が1000人以上:東京地方裁判所又は大阪地方裁判所