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過払金の破産手続きにおける取扱い


過払金がある場合、破産手続でどのように扱われるのでしょうか?

過払金の発生

 貸金業者との間で、利息制限法の制限超過利率を超える利率での取引を完済した場合は必ず、取引途中でも長年(おおむね7、8年以上)継続して行てきた場合は、過払金が発生していることがあります。

 過払金も財産であることに変わりはありあせん。過払金は、破産手続きにおいて、どのように扱われるのでしょうか?

 以下、大阪地裁の運用を解説します。

大阪地裁における破産手続きでの過払金の取扱い

 破産手続きにおける過払金の取扱いは、自由財産の拡張同時廃止の按分弁済について問題になります。それぞれにおける大阪地裁の運用を見てみましょう。

自由財産の拡張と過払金

 一定の過払金については、拡張適格対象財産に該当します。具体的には、以下の3つです。

過払金が自由財産の拡張適格財産となる場合

①破産申立時に回収済みの過払金

②破産申立時に確定判決取得済みの過払金

③破産申立時に返還額と返還時期について合意している過払金

 ③に関しては、通常、貸金業者と和解書などの書面を取り交わしますが、口頭での合意でもかまわないというのが大阪地裁での運用です。ただし、過払金の返還口座は、申立代理人名義の口座である必要があります。

 上記の3つ以外の過払金は、自由財産の拡張適格財産になりません。過払金が拡張適格財産になる場合は、過払金から申立代理人の報酬や費用を相当な範囲で控除することができます。

按分弁済と過払金

 大阪地裁の運用では、按分弁済における過払金の取扱いは、破産申立て時点で過払金を回収しているかどうかで異なります。なお、回収した過払金から、申立代理人の報酬や費用を控除できるのは、管財事件と同様です。

①破産申立時に過払金を回収していない場合

 過払金の券面額の合計額が30万円未満の場合は、回収や按分弁済をしなくても、同時廃止として処理することができます。30万円以上の場合は、そのままでは同時廃止として処理されることはありません。券面額の合計額を全額按分弁済する必要があります。

②破産申立時に過払金を回収している場合

 回収した過払金の合計額が20万円未満の場合は、按分弁済は必要ありません。20万円以上の場合は、全額を按分弁済する必要があります。

 回収した過払金の合計額が100万円以上の場合は、管財事件として処理されます。なお、99万円までの現金と普通預金を除いた財産の合計額が100万円を超える場合も管財事件になります。

按分弁済の廃止

 現在の大阪地裁の運用基準では、按分弁済を行うことによる同時廃止として処理することは認められていません。

にゃソラ

詳しくは、以下の「大阪地裁における破産の同時廃止の運用基準の変更」を参照

大阪地裁における破産の同時廃止の運用基準の変更

平成29年10月1日以降、大阪地裁の破産の同時廃止事件の運用基準が変更されました。大阪地裁の新しい同時廃止の運用基準を解説します。

 現在の大阪地裁の運用では、過払金は以下のように扱います。

①過払金を回収済みの場合

 破産申立前に過払金を回収している場合は、現金として扱います。現金・普通預金が50万円を超えると、管財事件となります。

②過払金を回収していない場合

 破産申立前に過払金を回収していない場合は、過払金の額面額が30万円未満であれば、同時廃止として処理できます。過払金の額面額が30万円以上の場合は、管財事件となります。


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