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破産手続きにおける財産の評価


破産手続の自由財産拡張に関して、財産は、どのように評価するのでしょうか?

自由財産の拡張・按分弁済基準

 大阪地裁における破産手続の運用では、自由財産の拡張基準や按分弁済基準で、財産の合計が99万円や個別の財産の額が20万円といった数字が出てきます。

にゃソラ

各基準については、それぞれ以下の「破産手続における自由財産の拡張」・「破産・同時廃止の按分弁済基準」を参照

破産手続における自由財産の拡張

自己破産しても、財産をすべて失うわけではありません。破産後に手元に残せる財産である自由財産の拡張について説明します。

破産・同時廃止の按分弁済基準

かつて、大阪地裁では、管財事件相当な場合も一定の財産を債権者に按分弁済することにより、同時廃止として処理することが認められていました。

 そのため、破産手続きにおいては、財産の評価が重要になります。破産手続きにおいて、財産をどのように評価するのか?を自由財産の拡張基準の適格財産についてみていきます。

大阪地裁での運用に基づく破産手続きでの財産の評価

 ここでは、破産手続きにおける財産の評価について、大阪地裁の運用を説明します。

保険解約返戻金

 契約者貸付けを受けている場合は、貸付残額を控除した残額を評価額とします。

自動車

 査定評価額を評価額とするのが原則です。大阪地裁では、以下の場合は、0と評価しています。

大阪地裁において、自動車が0評価となる場合

(1)普通自動車で初年度登録から7年以上

(2)軽自動車・商用普通自動車で初年度登録から5年以上

(3)上記(1)、(2)とも、新車車体本体価格が300万円未満であることが必要です。

 この基準で0評価になるのは国産車のみです。外国車については、直ちに0評価にはできません。

敷金・保証金返還請求権

 破産者が居住している賃貸物件の敷金・保証金返還請求権は、賃貸借契約上の返還金から滞納賃料以外に、明渡費用等を考慮し、60万円を控除するのが大阪地裁の運用です。この運用のおかげで、ほとんどの場合は0評価になります。

 明渡費用として、60万円を控除できるのは、居住用賃貸物件に限られます。ガレージや駐車場に関しては、60万円を控除することはできません。

 また、事業用物件も、60万円を控除することはできません。その代わり、原状回復費用の見積評価額を契約上の返還額から控除した金額を評価額とします。

電話加入権

 大阪地裁の運用では、電話加入権を0と評価としてきました。電話加入権自体に価値が認められなくなったため、現在の運用では、破産手続においては、電話加入権を財産として扱わないことになっています。もともと0評価だったので、実務上、破産申立時に記載しなくていい以上の影響はないといえます。

退職金債権

 そもそも退職金の4分の3は差押禁止財産です(民事執行法152条2項)。したがって、退職金の4分の3については、本来的自由財産です(破産法34条3項2号)。

 退職金は、将来、退職した時に支給されます。しかし、退職までに退職金を受給できないリスクもあります。そこで、大阪地裁の運用では、退職金支給見込額の8分の1を評価額としています。ただし、退職金が近々支給されるような場合は、4分の1を評価額とします。

 ちなみに、退職金支給見込額は、自己都合による退職金の金額として評価します。


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