自宅不動産に根抵当権が設定されている場合、個人再生手続で住宅資金特別条項を利用できますか?
住特条項の要件
個人再生手続きで、住宅資金特別条項(住特条項)を利用するための要件は、以下のとおりです。
個人再生手続で住特条項を利用するための要件
①住宅ローンが住宅資金貸付債権であること
②①を担保する抵当権の目的となっている住居が住宅であること
詳しくは、以下の「個人再生と住宅資金特別条項」を参照
では、自宅に設定されている担保が根抵当権の場合、住特条項を利用できるのでしょうか?②の要件の関係で問題になります。
担保は根抵当権でも仮登記でもかまわない
住特条項を利用するための要件である「抵当権」は、根抵当権でも構わないと解されています。また、抵当権者に本登記請求権が認められる仮登記がされた抵当権も含まれると解されています。
したがって、自宅に設定されている担保が根抵当権であっても、根抵当権で担保されているのが住宅資金貸付債権(民事再生法196条3号)であれば、住特条項を利用できます。
しかし、根抵当権で担保されているのが、住宅ローン以外の債務を含んでいる場合は、住特条項を利用することはできません(民事再生法198条1項但書)。
大阪地裁の運用
設定されている担保が根抵当権の場合、不動産登記からは、根抵当権の被担保債権が住宅資金貸付債権のみなのか、他の債権も被担保債権になっているのか、わかりません。
大阪地裁では、自宅不動産に設定されている担保が根抵当権の場合、根抵当権者が作成した証明書の提出が必要です。証明書の内容は、当然、根抵当権の被担保債権が住宅ローン債権のみであることです。証明書は、再生手続開始決定前に裁判所に提出する必要があります。したがって、根抵当権者との事前交渉の段階で、証明書の作成を依頼しておく必要があります。