小規模個人再生手続きにおける再生計画案の決議を取り上げます。
小規模個人再生の再生計画案の決議
個人再生手続きには、小規模個人再生手続と給与所得者等再生の2つの手続があります。小規模個人再生手続は、再生計画案について再生債権者の決議を経る必要があります。小規模個人再生の決議は、以下の2つの特徴があります。
小規模個人再生の決議の特徴
①書面決議(民事再生法230条3項)であること
②消極的同意制度(民事再生法230条6項)を取っていること
議決権者
小規模個人再生の再生計画案の決議の議決権者は、無異議債権と評価済債権を有する届出再生債権者です。
住特条項を定める場合、住宅ローン債権者には議決権はありませんが、意見聴取は行われます(民事再生法201条2項)。
書面決議の可決要件
小規模個人再生の再生計画案の決議は、書面決議で行われます。裁判所は、再生計画案を書面による決議に付するという付議決定をした場合、議決権者に再生計画案と再生計画案に同意しない者は期間内に書面でその旨を回答すべきことを記載した文書を送付します。
小規模個人再生の再生計画案の決議は、次の2つを満たす場合は、再生計画案の可決があったものとみなすという消極的同意要件を採用しています。
書面決議の可決要件
(1)再生計画案に同意しない旨を書面で回答した議決権者が、議決権者総数の半分に満たない
(2)(1)の議決権の額が、議決権者の総議決権の総額の2分の1を超えない
不同意の議決権を行使する債権者はほとんどいない
小規模個人再生を申立てる債務者は、事業者もいますが、住宅ローンをかかえた給与所得者(会社員)であることが多いです。債務者が会社員の場合、債権者は、消費者金融やクレジットカード会社といった貸金業者がほとんどです。
実務上、小規模個人再生の再生計画案に対して、不同意の議決権と行使する債権者は、ほとんどいません。しかし、一部の公的機関は不同意の議決権を行使することがあります。また、最近は、一部のカード会社やサービサーも不同意の議決権を行使することが増えています。再生債権者の数が少ない場合や大口の債権者が反対することが予想される場合は、注意が必要です。