個人再生手続で巻戻しによって住特条項を用いた場合、競売手続はどうなりますか?
個人再生の巻戻し制度
個人再生には、巻戻しという制度があります(民事再生法198条2項)。住宅ローンを滞納してしまい、保証会社が代位弁済をした後でも、代位弁済から6か月以内に、個人再生の申立てを行えば、住特条項を利用することができます。
巻戻しについては、以下の「保証会社に代位弁済されても個人再生で住特条項を使えますか?」を参照
住宅ローン滞納後に、保証会社に代位弁済されても個人再生で住特条項は使えますか?
住宅ローンを滞納して、保証会社が代位弁済した後でも個人再生手続で住特条項を用い、自宅不動産を残すことができるのか?を解説します。
個人再生の巻戻しと競売手続きの関係
上記のとおり、保証会社が代位弁済した後、6か月以内に個人再生を申立てれば、住特条項を利用することができます。しかし、その間に、保証会社が抵当権を実行して、不動産競売が開始されているというケースもあります。この場合、個人再生手続きと競売手続きとの関係が問題になってきます。
競売中止命令
大阪地裁では、個人再生の申立てから認可決定までを100日で行うという標準スケジュールで運用しています。そうると、認可決定までの間に、自宅不動産が競落されてしまうおそれがあります。
そこで、民事再生法197条1項は、個人再生手続開始の申立てがあった場合、住特条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生債務者の申立てにより、相当の期間の定めて、自宅不動産に設定されている抵当権の実行の中止を命じることができると規定しています。
この中止命令を行うに当たって、裁判所は競売申立人の意見を聴取する必要があります(民事再生法197条2項・31条2項)。中止命令の期間は相当期間ですが、実務上は3か月~4か月程度と定めています。
中止命令の裁判は、執行停止文書です。再生債務者は、中止命令の謄本を執行裁判所へ提出して、強制執行の停止を求めます(民事執行法183条1項7号)。裁判所が定めた相当期間を経過すると、中止命令は当然に失効して、競売手続きは再度進行します。
抵当権が実行されても、自宅不動産を残せる可能性がある
以上のように、住宅ローンを滞納し、保証会社が代位弁済を行い、さらに抵当権を実行されたとしても、個人再生を申立て、住特条項を利用することで、自宅不動産を残せる可能性があります。
個人再生を申立てるには、再生計画の履行可能であることが大前提になりますので、早めに弁護士にご相談ください。
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