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相続財産の破産


相続財産の破産を取上げます。

相続財産の破産

 債務者が死亡して相続が開始した場合、相続債権者・受遺者・相続人や相続人の債権者と、通常の破産手続とは異なる利害関係人が登場します。

 そこで、破産法は、破産財団を相続財産、破産債権者を相続債権者と受遺者として、破産手続を行う相続財産の破産の規定を置いています(破産法222条以下)。

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破産手続中に破産者が死亡した場合の取扱いは、以下の「破産申立後に破産者が死亡した場合の取扱い」を参照

破産申立後に破産者が死亡した場合の取扱い

破産申立後に債務者が亡くなってしまった場合、破産手続がどうなるか?を解説します。

破産手続開始原因

 破産手続開始原因は、相続財産をもって相続債権者及び受遺者に対する債務を完済できないこと、つまり債務超過であることです(破産法223条)。

申立人

 相続財産の破産の申立人は、①相続債権者又は受遺者、②相続人、相続財産管理人又は遺言執行者です(破産法224条1項)。

 ①の申立人の場合は、債権の存在と相続財産の破産手続開始原因となる事実を疎明する必要があります(破産法224条2項1号)。②の申立人の場合は、相続財産の破産手続開始原因となる事実を疎明する必要があります(破産法224条2項2号)。

申立期間

 相続財産の破産の申立てには、期間の定めがあります(破産法225条)。申立てをすることができるのは、以下の期間内です。

相続財産の破産申の申立期間

(1)相続債権者又は受遺者による財産分離の請求をすることができる期間

(2)限定承認又は財産分離があったときで、相続債権者及び受遺者に対する弁済が完了するまでの間

破産財団の範囲

 相続財産に属する一切の財産が、破産財団を構成します(破産法229条1項)。

 相続人が相続財産の全部又は一部を処分した後に、相続財産について破産手続開始決定がされた場合、相続人が反対給付を受ける権利は破産財団に帰属します(破産法229条2項)。相続人がすでに反対給付を受けている場合は、破産財団に返還する必要があります(破産法229条3項)。

残余相続債権と免責

 相続財産の破産手続において満足を得ることができなかった相続債権は、相続放棄又は限定承認をしていない限り、相続人に対して行使されることになります。

 大阪地裁の運用では、相続財産の破産申立てがなされても、免責の申立てがあったとはみなしていません。なお、相続財産の破産手続開始決定後であっても、相続人は、相続放棄又は限定承認をすることができます。


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