破産手続きの配当の内、簡易配当の概略を説明します。
簡易配当とは?
簡易配当とは、最後配当ができる場合に、最後配当に代えて簡易な手続きで行う配当手続きです(破産法204条)。
最後配当の手続きを簡易にすることで、迅速な配当手続きを行うことができます。実務上、ほとんどの配当は、簡易配当で行われています。
簡易配当の種類
簡易配当には、①財団少額型、②開始時異議確認型、③配当時異議確認型の3つの手続きがあります。
財団少額型
財団少額型は、配当できる金額が1,000万円未満の場合に行われる簡易配当の手続きです(破産法204条1項1号)。財団少額型では、簡易配当をすることについて、破産債権者から異議の確認を求める必要がありません。
簡易配当は、実務上、最も利用されている配当手続です。
開始時異議型
裁判所が相当と認める場合、破産手続開始決定の公告・通知と同時に簡易配当について公告・通知を行うのが、開始時異議型です(破産法204条1項2号)。
簡易配当を行うことに異議のある破産債権者は、一般調査期間の末日または終了時までに裁判所に異議を述べることを公告・通知します。破産債権者が異議を述べない場合は、簡易配当を実施します。
配当時異議型
財団少額型・開始時異議型以外に、相当と認められる場合は、簡易配当を実施することができます(破産法204条1項3号)。破産管財人は、届出破産債権に簡易配当について通知すると同時に、簡易配当をすることに異議のある破産債権者は所定の期間内に裁判所に対して異議を述べることができる旨の通知をしなければなりません。
手続きの選択
配当できる金額が1,000万円未満の場合は、財団少額型の簡易配当が選択されます。簡易配当を実施することについて、債権者の異議の有無を確認する必要がありません。そのため、簡易・迅速に配当を実施することができます。
配当できる金額が1,000万円以上の場合、大阪地裁では、配当時異議型の簡易配当を原則としています。また、大阪地裁では、開始時異議型の簡易配当は原則的に行われていません。
最後配当と簡易配当の違い
簡易配当は、最後配当の手続きを簡易にしたものです。最後配当とは、以下のような違いがあります。
最後配当と簡易配当の違い
(1)簡易配当は、除斥期間が1週間とされている(破産法205条・198条)
(2)簡易配当は、配当表に対する異議手続きで即時抗告が認められていない(破産法205条,200条3項・4項)
(3)簡易配当は、異議手続終了後の配当額の再度通知が省略されている(破産法205条・201条1項)
最後配当の手続きは、以下の「最後配当」を参照