破産管財人の不法行為と財団債権


破産管財人の不作為の不法行為が、財団債権になるか?を判断した最高裁判決を紹介します。

最高裁昭和43年6月13日判決

 破産管財人の不法行為に基づく損害賠償は、破産手続では、財団債権として扱われます(破産手続における一般の財団債権③参照)。

 本件訴訟は、破産財団に属する物件が他人の土地上に存在していて、その土地を不法占有したことによって、生じた損害賠償請求権が、財団債権になるか?つまり、不作為の不法行為が財団債権になるか?が争点になりました。

最高裁の判断

 最高裁は、破産管財人の不法行為に基づく損害賠償請求権は、積極行為に限らず、本件のような不作為であっても、財団債権に該当すると判断しています。

 破産宣告後の昭和32年11月13日以降の本件土地の不法占有にもとづく所有権侵害による損害金債権について検討するに、少なくとも本件のような土地上に物件を所有して占有することにともなう損害金債権は、財団債権に該当すると解すべきである。

 破産宣告によりその物件の所有者たる上告人においてその財産管理処分権を失ない、その権利が破産管財人に専属する以上、物件を所有して占有するために生ずる損害金債権は、破産管財人の管理処分権にもとづいてする行為を原因として生ずるものと解するのが相当である。


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