会社が破産する場合、支払停止後に役員報酬を支払うことは問題ないですか?
会社役員の役員報酬
会社と取締役等の役員との関係は、委任契約に基づきます(会社法330条)。会社によっては、役員報酬を給与という名目で支払っているところもありますが、名目に関わらず、役員報酬は、委任契約に基づく報酬です。
会社の破産申立てに際して、支払停止後に役員に役員報酬を支払うことは問題ないのでしょうか?
支払停止については、以下の「破産手続開始原因である支払不能と支払停止」を参照
破産手続開始原因である支払不能と支払停止
破産を申立てるには、破産手続開始原因があることが必要です。 破産手続開始原因は、支払不能です。支払停止があると、支払不能であることが推定されます。
役員報酬は破産債権
役員報酬は、委任契約に基づく対価です。破産手続においては、一般の破産債権として扱われます。
したがって、会社の支払停止後は、他の破産債権と同様,役員報酬の支払いも停止する必要があります。
会社の破産申立てに当たって、役員に残務処理等の仕事をしてもらうことがあります。このような場合も、役員に役員報酬を支払うのではなく、日当という形で妥当な金額を支払うことになります。
従業員給与分の支払は問題ない
会社役員が従業員兼役員の場合、従業員としての給料は、破産手続では労働債権に該当します。従業員給与分の支払いまで停止する必要はありません。他の従業員と同様の扱いをして、問題ありません。
もっとも、従業員給与分の支払が高額な場合は、破産手続開始決定後に破産管財人から否認される可能性があります。