破産の債権調査に関する大阪地裁の運用を取り上げます。
期日型と留保型
破産法は、裁判所は、破産手続開始決定と同時に、債権調査のための債権届出期間と債権調査期日を定めるものと規定しています(破産法31条1項)。
しかし、配当の見込みのない場合に、破産債権の届出・調査を行うのは、余計な労力をかけるだけで、無駄な手続きです。そこで、破産法は、破産手続開始決定時に、破産手続廃止のおそれがあると認められる場合は、債権届出期間と債権調査期日を定めないことができると規定しています(破産法31条2項)。
大阪地裁の運用では、破産手続開始決定時に、①債権調査期日を指定する場合を期日型といい、②指定しない場合を留保型といいます。
大阪地裁では②留保型が原則
大阪地裁では、債権調査期日の指定について、原則として②の留保型を採用しています。一般破産債権へ配当が確実な場合のみ期日型を採用しています。
以下の「大阪地裁の一般管財の運用」も参照
大阪地裁での留保型採用の基準
大阪地裁では、以下の基準で留保型を運用しています。
①一般破産債権に対する配当の見込がないことが明らかな場合
留保型を採用し、債権届出期間と債権調査期日を指定しません。
②一般破産債権に対する配当の見込みが不明な場合
この場合も大阪地裁では、留保型を採用しています。そして、配当可能な破産財団が形成されてから、債権届出期間と債権調査期日を指定する運用を行っています。
たとえば、不動産の任意売却が成功すれば、配当できるが、任意売却できなければ配当できないというケースがこの類型に該当します。
③一般破産債権に対する配当が確実な場合
この場合は、大阪地裁では、期日型を採用します。破産手続開始決定時に債権届出期間と債権調査期日を指定します。
留保型から期日型への移行
配当できるだけの破産財団が形成された場合、破産管財人は、裁判所に収支計算書を提出し債権届出期間と債権調査期日を指定するように連絡します。その後、裁判所が債権届出期間と債権調査期日を指定します。指定後、破産管財人は、破産債権者に対して通知を行います。