破産手続における配当と不当利得返還請求について判断した最高裁判決を紹介します。
最高裁平成10年3月26日判決
配当異議の申出をしなかった一般債権者が、配当を受けた他の債権者に対して、不当利得返還請求権を行使できるか?が問題になった事案です。
配当異議については、破産手続における配当表に対する異議を参照
最高裁の判断
最高裁は、以下のように、配当異議の申出をしなかった一般債権者の他の債権者に対する不当利得返還請求権の行使を否定しました。
配当期日において配当異議の申出をしなかった一般債権者は、配当を受けた他の債権者に対して、その者が配当を受けたことによって自己が配当を受けることができなかった額に相当する金員について不当利得返還請求をすることができない。
ある者が不当利得返還請求権を有するというためにはその者に民法703条にいう損失が生じたことが必要であるが、一般債権者は、債務者の一般財産から債権の満足を受けることができる地位を有するにとどまり、特定の執行の目的物について優先弁済を受けるべき実体的権利を有するものではなく、他の債権者が配当を受けたために自己が配当を受けることができなかったというだけでは損失が生じたということができないからである。