破産の免責許可決定の取消しを取上げます。
免責取消しの決定
詐欺破産罪(破産法265条)について破産者の有罪判決が確定した場合や、破産者の不正な方法で免責許可決定がなされた場合は、裁判所は、破産債権者の申立て又職権で、免責を取り消すことができます(破産法254条1項)。
免責の取消事由
免責許可決定が取り消されるのは、以下の2つの場合です(破産法254条1項)
免責許可決定の取消事由
①詐欺破産罪の有罪判決が確定した場合
②破産者が不正な方法で免責許可決定を得た場合
②の不正な方法とは、破産債権者や破産管財人に対する詐欺・脅迫・利益供与等により、免責許可決定を得たことをいいます。
破産者が虚偽の陳述をしたことが、不正な方法に該当するのか?という議論があります。これを肯定している裁判例が存在します。
免責取消の申立権者
詐欺破産罪の有罪判決が確定した場合は、破産債権者の申立て又は裁判所の職権で手続きが開始されます(破産法254条1項前段)。破産者が不正な方法で免責許可決定を得た場合は、破産債権者の申立てによって手続きが開始されます(破産法254条1項後段)。なお、財団債権者は、申立権者に当たりません。
免責取消しの効果
免責取消決定が確定すると、免責許可決定は効力を失います(破産法254条5項)。免責の効力を受けたすべての破産債権は、免責許可決定確定前の状態に復することになります。
また、免責取消決定が確定すると、破産債権者表が作成されている場合は、債権者表にその旨が記載されます。
免責後の債権者の優先権
免責許可決定後に債権者となった者には、優先権が与えられます(破産法254条6項)。免責許可決定後、取消決定が確定するまでの間に債務者と取引する場合、免責を前提とした債務者の経済状況を認識し取引を行うのが通常です。このような債権者は、免責取消しによって不利益を被ることになります。そのため、優先権が認められています。
優先権が問題になるのは、新たに開始された破産手続です。新たに開始された破産手続において、優先的破産債権者として扱われます。