非典型担保権の一つである譲渡担保は、破産手続では、別除権として扱われますか?
譲渡担保権
譲渡担保権は、債権の担保のために、債権者にあらかじめ目的物の所有権を移転し、①債権が弁済された場合、その所有権は債務者に戻り、②弁済されない場合は、債権者が処分する又は自分に帰属させる非典型担保権です。
②の場合は、換価価値が残債権額を超えていれば、債権者は、清算義務を負います。
譲渡担保の法的性質は、見解がいくつかあります。通説は、担保権者に所有権の形式の担保権が帰属し、設定者に設定者留保権という担保権の付着した所有権が帰属すると解されています。
破産手続における譲渡担保の取扱い
譲渡担保は、会社更生手続では更生担保権(会社更生法2条10項)、民事再生手続では別除権(民事再生法53条)と扱われます。
破産手続においては、取戻権の対象になるという見解もありますが、別除権(破産法65条)として扱うというのが多数説とされています。
譲渡担保権者は、担保権の実行時に清算義務を負い、清算完了まで、設定者が被担保債権を弁済し目的物を受戻すことができます。
なお、破産手続開始決定時に、譲渡担保の実行が終わっている場合、目的物の所有権は譲渡担保権者に確定的に帰属しています。したがって、目的物の引渡請求権は、取戻権として行使することになります。
集合動産譲渡担保
集合動産譲渡担保権が設定されている場合、破産手続において、別除権として扱われます。担保権の設定契約において、債務者が破産した場合、債務者は保管場所内の動産の移動が禁止されます。破産管財人もこの契約上の義務を承継すると解されており、動産を保管場所から搬出することができません。