破産手続における不動産の売却について取上げます。
破産手続と不動産の売却
不動産を所有している債務者が破産すると、原則、管財事件となります。破産管財人は、破産財団の増殖のために、不動産を換価処分します。
不動産の換価方法として、裁判所の許可(破産法78条2項1号・13号・14号)を得て、住宅ローン債権者等の別除権者から受戻しの同意を得て、任意売却するのが、一般的です。
不動産には、抵当権が設定されていることがあります。住宅ローンの完済前の自宅不動産がその典型です。抵当権は、破産手続では、別除権となり、破産手続によらずに、権利行使が可能です。しかし、任意売却の方が、一般的には、競売よりも早期に売却できます。また、競売手続の費用負担や債権回収率という点からも任意売却の方が競売よりメリットがあります。したがって、別除権付不動産についても、破産管財人が任意売却するのが、一般的です。
不動産の任意売却
不動産の任意売却は、①買受希望者を探し、②売却価格を決定し、③別除権者等と交渉する必要があります。
買受希望者の探索
任意売却に当たっては、不動産業者を選定し、買受希望者を探します。なかなか買受希望者が見つからない場合は、破産者やその親族、知人、同業者に買受希望者を探してもらうこともあります。
別除権付不動産の場合は、後順位の別除権権者に買受希望者を探してもらうこともあります。
買受希望者が複数現れるような人気の不動産の場合は、入札手続を実施することもあります。
売却価格の決定
任意売却に当たっては、不動産の売却価格が適正であることが必要です。価格の決定に当たっては、不動産の現況を調査した上で、不動産鑑定士の鑑定評価額、別除権者の評価額、不動産業者の査定、近隣不動産の取引事例額、公示価格、固定資産税評価額等の資料を活用します。
別除権者との交渉
別除権付の不動産を任意売却する場合は、別除権者の同意が必要です。上記のように、任意売却は、競売に比べて、早期に高額に売却できる可能性が高いので、一般的には、別除権者にも有利な債権回収の手段です。
しかし、ハンコ代程度の抹消料しか受け取れない後順位別除権者が、強硬に反対するケースもあります。
不動産の任意売却は、破産財団の増殖のために行います。そのため、破産管財人は、別除権者と受戻金額を交渉する必要があります。受戻金額は、破産財団に組入れ、配当の原資となります。
大阪地裁の運用では、破産財団への組入額は、売却価格の10%~5%が目標となっています。財団組入額が3%を下回る場合は、任意売却は許可されません。