破産手続における一般の財団債権と租税債権の関係を取り上げます。
一般の財団債権
破産法148条は、財団債権に該当する債権を列挙しています。破産法148条1項に規定されている財団債権を一般の財団債権といいます。また、それ以外の財団債権を特別の財団債権といいます。
②破産財団の管理・換価・配当に関する費用の請求権
破産財団の管理・換価・配当に関して様々な費用が発生します。これらの費用は、債権者共同の利益に資するので、一般の財団債権とされています。
租税等の請求権
破産手続開始後の原因に基づき発生する租税等の請求権が、破産財団の管理・換価・配当に関する費用に該当する場合は、財団債権となります。それ以外は、劣後的破産債権となります。
法人税
法人の所得を課税物件として課税される租税です。課税標準は、各事業年度の所得金額です。
かつて、破産法人について、清算所得課税制度が適用されていたこともありました。現在は、通常の法人と同様、各事業年度の所得に対して、法人税が課されます。
清算課税所得制度が適用されていた当時の判例は、財団債権該当性を否定しています。この判例が現在も妥当するのかは、見解が分かれています。
法人住民税・法人事業税
法人住民税は、地方公共団体に事業所を有する法人等に対して課される租税です。均等割と法人税割から構成されています。
均等割は、課税要件を満たす法人に対して応益課税の考えに基づいて均等額で課される租税です。破産法人が破産の目的の範囲内で存続することに伴うもので、財団債権となります。
法人税割は、法人税額を課税標準として課される租税です。法人税の付加税的な性質をもっているといえます。法人税割については、法人税の議論が妥当することになります。
法人事業税は、法人の行う事業に対して付加価値額、資本金の額、所得・収入金額を課税標準に課される租税です。収益税としての性格を踏まえると、理論的には、破産財団に収益が帰属する限り、その収益に対する経費的側面があると考えられ、財団債権に当たると考えられています。
土地重課税
土地税制の一環として、法人の土地の譲渡益に対して法人税のほかに追加課税を行う租税です。土地の譲渡益を分離して課税対象としています。法人税が課税されない場合でも、土地重課税は課税されます。
したがって、破産財団に属する土地が譲渡され、その譲渡益が破産財団に帰属する場合は、財団債権に該当することになります。