破産手続における一般の財団債権を取り上げます。
一般の財団債権
破産法148条は、財団債権に該当する債権を列挙しています。
破産法148条1項に規定されている財団債権を一般の財団債権といいます。また、一般の財団債権以外の財団債権を特別の財団債権といいます。
①裁判上の費用の請求権
破産手続の遂行上必要となる裁判手続費用とそれに関連して発生する費用は、一般の財団債権とされています。
この費用は、破産手続の遂行に不可欠な必要経費です。そのため、共益的性質を根拠に財団債権の中で優先的に扱われます。
具体的には、破産手続開始申立ての費用、保全処分の費用、破産手続開始決定に伴う公告・通知・送達費用などがあります。
この請求権に該当する債権は、破産債権者の共同の利益のための費用である必要があります。したがって、特定の破産債権者のための債権調査費用・手続参加費用は、該当しません。
②破産財団の管理・換価・配当に関する費用の請求権
破産手続は、破産財団を管理し、換価して配当原資を確保し、破産債権者に配当する手続です。破産手続の遂行にあたり、破産財団の管理・換価・配当に関して様々な費用が発生します。これらの費用は、債権者共同の利益に資するので、一般の財団債権とされています。
破産財団は、破産債権者に対する配当原資であるとともに、財団債権の弁済原資です。破産財団の形成に資する弁済原資の獲得費用としての共益性を考慮して、財団債権の中でも優先的に扱われます。
破産管財事務の遂行費用
破産管財事務は、破産財団の管理・換価・配当を中核としています。破産管財人の報酬等の破産管財事務の遂行費用は、破産手続の遂行に必要不可欠な経費で、その共益性を考慮し、他の財団債権に先立って最優先で弁済される費用です。
したがって、破産管財事務の遂行費用は、破産財団が不足している場合に優先弁済を受けられる破産法152条2項の財団債権も弁済できないときは、按分弁済によらずに、破産法152条2項の財団債権に優先して弁済を受けることができます。
管理・換価・配当に関する費用
破産財団の管理に関する費用は、破産財団の維持・保全のための費用です。破産財団に属する財産の固定資産税が、その代表です。また、破産財団に含まれる廃棄物等の処理費用なども該当します。
破産財団の換価に関する費用は、破産財団に属する財産の売却時の諸費用が該当します。破産財団の配当に関する費用は、配当表の作成費用などです。