督促の手紙やハガキが届いた、裁判所から訴状が届いた…よく見ると何年も前の借金、これって時効?放置した借金の時効と思わぬ落とし穴を解説します。
- 1. 何年も前の借金が…
- 2. 借金の時効とは?
- 2.1. 借金の時効期間
- 2.1.1. 消滅時効期間
- 2.1.2. 民法改正前の消滅時効に注意
- 2.1.3. 消滅時効の期間が10年の場合
- 2.2. 時効期間が経過するだけでは借金は消えない
- 2.2.1.1. 貸金債権の消滅時効
- 3. 時効にならないケース
- 3.1. 時効の更新(中断)があった
- 3.2. 借金の支払いをしてしまった
- 3.3. 借金の存在を認めてしまった
- 3.4. 放置して判決を取られた
- 4. 消滅時効の援用はどうやるの?
- 4.1. 時効の援用は、内容証明郵便で行う
- 4.2. 貸金業者等には連絡しない
- 4.3. まず、弁護士に相談
- 5. 何年も前の借金の督促が来たら確認すべき時効
- 5.1.1. 確認すべき事項
- 6. 何年も前の借金の督促が来た方へ
- 7. 無料相談はこちら
何年も前の借金が…

裁判所からこんなのが届いて…

訴状ですね。中身を見ると、15年ほど前に延滞した借金の請求ですね。

やっぱり、払わないとダメなんですか?

消滅時効が完成してるので、ちゃんと手続きすれば、払う必要はありません。

手続き?

消滅時効の援用といいます。
借金の時効とは?
借金で問題になる時効は、消滅時効のことです。消滅時効とは、債権者が一定の期間、権利を行使しなかった場合に、その権利を消滅させる制度です。
借金の時効期間
民法の消滅時効は、以下のいずれかの期間経過すれば、完成します。
借金の場合は、延滞してから5年以上経過すれば、消滅時効が完成します。
民法改正前の消滅時効に注意
2020年4月1日に民法が改正され、消滅時効の期間は5年になりました。民法改正前は、消滅時効の期間は10年でした。
民法改正前に借入れした借金の時効は、改正前の法律によります。ただ、借入れしたのが、銀行、クレジットカード会社、貸金業者などの会社の場合は、商法の消滅時効が適用されるので、民法改正前の消滅時効の期間も5年です。
しかし、借入先が以下の場合、商法の適用がないので、消滅時効の期間は10年です。
消滅時効の期間が10年の場合
①信用金庫
②信用組合
③貸金業者が会社ではなく、個人で経営している場合
④住宅金融支援機構
⑤保証協会

借主が会社や個人事業主の場合は、商法の適用があるので、消滅時効の期間は5年です。
時効期間が経過するだけでは借金は消えない
上記の消滅時効の期間を経過するだけでは、時効の効果は発生しません。債務者による消滅時効の援用が必要です。援用とは、要するに、「消滅時効なので、払いません」という意思を表明する必要があります。

以下の「貸金債権の消滅時効」も参照
時効にならないケース
請求されているのが、何年も前の借金だったとしても、消滅時効の援用ができないケースがあります。
時効の更新(中断)があった
多いのは、すでに、支払督促の申立てや訴訟を提起されて判決を取られているケースです。支払督促・判決を取られると、消滅時効の期間はリセットされます。さらに、消滅時効の期間が10年に延びます。
借金を放置している人は、支払督促の申立てや訴訟が提起され判決が出ていたことを知らないことが、多いです。
借金の支払いをしてしまった
消滅時効の期間が経過した後、貸金業者等に借金の支払いをすると、もはや、消滅時効を援用することはできません。
たとえ、消滅時効の完成を知らずに、支払いをしてしまったとしても、消滅時効の援用はできません。

債権者から脅されたりして支払いをしてしまった等、消滅時効の援用ができる場合もあります。
借金の存在を認めてしまった
消滅時効の期間が経過した後、貸金業者等から督促があり、借金の存在を認めたり、元金のみの返済を提案したりすると、もはや、消滅時効の援用はできません。
たとえ、消滅時効の完成を知らなかったとしても、消滅時効の援用はできません。
放置して判決を取られた
消滅時効の期間が経過した後で、訴訟を提起されることがあります。訴訟を提起されたにも関わらず、放置して、判決が取られてしまうと、消滅時効の援用はできません。
消滅時効の援用はどうやるの?

消滅時効の援用って、どうすればいいの?

特に形式が決まってるわけでもありません。
通常は、内容証明郵便で行います。
時効の援用は、内容証明郵便で行う
消滅時効の援用に形式はありません。通常は、後日の紛争を防止するために、証拠として確実に残る内容証明郵便で行います。
訴訟を提起された場合は、答弁書で消滅時効を援用する旨を記載して、裁判所に提出すれば、別途、内容証明郵便を送る必要はありません。
貸金業者等には連絡しない
督促されている借金が、何年も前のもので、消滅時効の可能性がある場合、貸金業者等に連絡するのは、お勧めしません。
消滅時効の完成後に、借金の存在を認めると、消滅時効の援用ができないからです。電話してしますと、気づいたら、借金の存在を認めていたという事態に陥っていることがあります。
まず、弁護士に相談
督促されている借金が何年も前の場合、まずは、弁護士に相談するのをお勧めします。ご自身で貸金業者等には連絡すると、消滅時効の援用ができなくなる可能性があります。借金の督促が来た場合に確認すべき事項
何年も前の借金の督促が来たら確認すべき時効
何年も放置していた借金の督促が来た場合、以下の3つを確認しましょう。
確認すべき事項
①最終の返済日、延滞日、期限の利益喪失の日
②過去に裁判所から書類が送られていないか?
③債権者に連絡していないか?
何年も前の借金の督促が来た方へ
何年も放置していた借金の督促が来た場合、正しく行動することが必要です。そのためには、一人で悩まずに、専門家である弁護士にご相談ください。

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