借金の延滞を放置していて裁判を起こされた場合、債務整理できるのでしょうか?
- 1. 裁判所から郵便が…
- 2. 裁判になるとどうなる?
- 2.1. ①支払督促
- 2.1.1. 支払督促の申立て
- 2.1.2. 支払督促の発付
- 2.1.3. 仮執行宣言の申立て
- 2.1.4. 仮執行宣言付支払督促の発付
- 2.1.5. 督促異議
- 2.2. ②裁判
- 2.2.1. 訴訟の提起・訴状の送達
- 2.2.2. 口頭弁論期日
- 2.2.3. 判決
- 2.3. 無視して放置するとどうなる?
- 3. 裁判になった場合のよくある疑問・不安
- 4. 裁判になったらどうすればいい?
- 4.1. ①裁判所からの郵便を無視しない
- 4.2. ②安易に債権者に連絡しない
- 4.3. ③弁護士に相談する
- 5. 債務整理による解決
- 5.1. 任意整理の注意点
- 6. 借金を延滞して裁判になった方へ
裁判所から郵便が…

裁判所から郵便が届いたんだけど、裁判って…もう人生終わり?財産も給料も全部持っていかれるの?

そんなに慌てなくても大丈夫だよ。
裁判になっても、まだ、債務整理できるよ。
借金の延滞を放置していると、ある日、裁判所から郵便が届いた。そんなときは、どうすればいいのでしょうか?
裁判になっても、債務整理で解決することができます。
裁判になるとどうなる?
そもそも、裁判になるとどうなるのでしょうか?借金の延滞して裁判になる場合、①支払督促と②通常の裁判の場合があります。
①支払督促
支払督促は、債権者の申立てにより、実質的な審理をせずに、簡易裁判所の書記官が金銭の支払いを命じる手続きです。
債権者の言い分のみで支払いを命じることができるのが、特徴です。支払督促の手続きは、①支払督促の発付と②仮執行宣言付支払督促の二段階になっています。
支払督促の申立て
債権者が支払督促の申立てをします。
支払督促の発付
債務者の言い分を聞くことなく、債権者の言い分のみで支払督促が発付されます。
仮執行宣言の申立て
債務者から督促異議の申立てがなければ、債権者は仮執行宣言の申立てができます。
仮執行宣言付支払督促の発付
仮執行宣言付支払督促が発付されます。この段階で、給与や預貯金口座の差押えが可能になります。
督促異議
債務者は、支払督促又は仮執行宣言付支払督促に対して、異議を申立てることができます。債務者が異議を申立てると、手続きが通常の裁判に移行します。債務者による異議を督促異議といいます。
督促異議は、支払督促の段階、仮執行宣言付支払督促のそれぞれの段階で可能です。仮執行宣言付支払督促の段階で、督促異議を申立てた場合、裁判に移行します。しかしながら、督促異議の申立てのみでは、債権者による差押えを止めることはできません。

支払督促の詳細は、以下の記事参照
②裁判
支払督促ではなく、訴訟を提起し、通常の裁判になるケースの方が多いと思います。裁判は、支払督促とは異なり、債務者の言い分を聞くことが手続上、保障されています。
訴訟の提起・訴状の送達
債権者が訴訟を提起すると、裁判所から訴状が郵送されます。
口頭弁論期日
裁判所で口頭弁論期日が開かれます。第1回の口頭弁論期日は、訴状と一緒に、裁判所から郵送で通知されます。
口頭弁論期日で債務者の言い分を述べることができます。
延滞した借金の請求の裁判の場合、1回の期日で終了することが多いです。
判決
判決が言い渡されます。
無視して放置するとどうなる?
支払督促や裁判を無視して放置すると、どうなるのでしょうか?
支払督促も裁判も無視して放置すると、債権者が差押えができる状態になります。給料や預貯金口座を差押えられる可能性があります。

給料が差押えられた場合の対処法は、以下の記事参照
業者によっては、動産執行の申立てを行い、債務者の自宅での執行に立ち会って、債務者の勤務先を聞き出し、給与を差押えるということもあります。

以下の解決事例も参照
給与の差押えを破産申立後に解除した事例
法律事務所エソラで扱った破産の解決事例の一例を紹介します。 事案の概要 ある債権者から支払督促を申立てられた。支払督促を放置していたところ、債権者から動産執行の申立てがされ、自宅において動産執行が行われた。 動産執行 […]
裁判になった場合のよくある疑問・不安
借金の延滞を放置して、裁判になった場合のよくある疑問・不安をまとめました。
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ブラックリスト
ウサラ 裁判になると、ブラックリストに載るの?
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にゃソラ すでにブラックリストに載っています。
すでに借金の延滞を放置しているので、信用情報に「延滞」と登録されている状態です。
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家族にバレる
ウサラ 家族にバレる?
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にゃソラ 裁判所からの郵便を家族が受取ったらバレると思います。
支払督促又は訴状は、裁判所から自宅に郵送されます。家族が裁判所からの郵便を受取ると、当然、何で裁判所から?ということになります。家族が裁判所からの郵便を受取るとバレるでしょう。
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差押えされる?
ウサラ 給料や財産を差し押さえられるの?
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にゃソラ 裁判になった段階では、差押えはできません。
支払督促又は裁判を放置すれば、給料や預貯金口座が差押えられます。裁判になった段階では、まだ、差押えできません。適切に対処することで、差押えを回避できます。
裁判になったらどうすればいい?
借金の延滞を放置して、支払督促の申立てや訴訟を提起されたら、どうすればいいのでしょうか?
①裁判所からの郵便を無視しない
裁判所からの郵便を無視しないことです。必ず内容を確認してください。
確認すべき内容
①どこの裁判所
②債権者の会社名
③請求されている金額
④指定されている口頭弁論期日の日時

当初の債権者から債権者が変わっていることが多いです。
当初の債権者も確認しましょう。
②安易に債権者に連絡しない
裁判所から訴状が届いて、びっくりして中身をよく確認せずに、債権者に連絡してしまう人がいます。安易に債権者に連絡するのは、危険です。
というのも、中には、すでに消滅時効期間を経過している債権もあるからです。安易に債権者に連絡したことで、債務の存在を認識したとして、消滅時効の主張が認められなくなることがあります。

借金の消滅時効については、以下の記事参照
③弁護士に相談する
支払督促や訴状が届いたら、弁護士に相談するのをお勧めします。
消滅時効が成立し支払う必要がないのか、支払う必要があるのかの見極め、消滅時効の援用の手続き、支払う必要がある場合の債務整理の手続きと、スムーズに進めていくことができます。
債務整理による解決
借金の延滞を放置して、支払督促の申立てや訴訟を提起された場合、債務整理による解決ができます。債務整理は、①任意整理、②自己破産、③個人再生の3つの手続きがあります。
手続き | 特徴 | メリット | デメリット |
任意整理 | 債権者と個別に交渉し、支払総額、毎月の支払額等を合意する | 解決までのスピードが早い 分割での支払い・将来の利息のカットが可能 | 借金は減らない 延滞すると差押えのリスク |
自己破産 | 裁判所に申立てをし、免責許可決定を得ることで借金を0にする | 借金を0にできる | 財産を処分する可能性がある |
個人再生 | 裁判所に申立てをし、借金を減額した上で、3年で支払う | 借金を減額できる 住宅ローンの残っている自宅を守れる | 保有している財産の価値よっては返済額が大きくなる可能性がある |
任意整理の注意点
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と個別に交渉し、返済総額、毎月の返済額等を合意し、合意した内容に従って、返済していく手続きです。
任意整理で、債権者と合意が成立した場合、合意書の取り交しをします。通常は、裁判外で行います。つまり、任意整理で債権者と合意した後、支払いを延滞したり、支払いができなくなった場合、いきなり、給料や預貯金口座を差押えられることはありません。
しかし、すでに裁判になった場合、債権者と合意した後、裁判所の手続きで和解をします。そのため、債権者と合意した後、支払いを延滞したり、支払いができなくなった場合、給料等を差押えできる状態になっています。
借金を延滞して裁判になった方へ
借金の延滞を放置して、支払督促の申立てや訴訟を提起されても、適切に対処すれば、差押えを回避することができます。早めに、弁護士にご相談ください。
法律事務所エソラは、債務整理の初回相談は無料です。

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