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個人再生手続きにおける少額債権の定め


個人再生手続きにおける少額債権の定めに関する大阪地裁の運用を取り上げます。

再生計画の弁済方法

 個人再生の再生計画における債務の弁済方法は、3か月に1回以上の割合による原則3年の分割弁済であることが必要です(民事再生法229条2項1号・2号)。

 しかし、民事再生法は少額の債権の弁済の時期について、別段の定めをすることを認めています(民事再生法229条1項)。

 少額の債権を他の再生債権と同様に、3か月に1回以上の分割弁済にすると、1回当たりの弁済額が少額になりすぎて、銀行の振込手数料を下回ることがあります。そうした事態を回避するために、少額債権の定めを認めています。

大阪地裁の少額債権の定めに関する運用

 少額債権の定めについて、大阪地裁の運用は、1か月当たりの弁済額が1,000円未満であることを基準にしています。

 要するに、①3年の再生計画を定める場合は債権額3万6,000円、②5年の再生計画を定める場合は債権額6万円の債権が対象です。

 この基準内の債権について、少額債権の定めをした場合は、裁判所に対して特に補足説明等をする必要はありません。基準を超える債権について、少額債権の定めをする場合は、そのような定めをした理由について、補足説明を裁判所にする必要があります。

 なお、過去に、基準を若干超えている場合に、裁判所から少額債権の定めを促され、補足説明なしに再生計画に少額債権の定めをしたことがあります。

 短期間に弁済を受けられることは、再生債務者が再生計画を将来的に履行できなるリスクを考えると、利息以上に有利であるとも考えられます。

 そのため、上記の基準を満たせばいいというわけではありません。他の再生債権者とのバランスも要求されます。たとえば、債権総額1万円の債権を3回の分割にしつつ、債権総額3万円の債権の弁済は1回で行うとか、少額の債権の弁済を最終回で行うことは、認められません。


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