個人再生手続において、リース料債権はどのように取扱われますか?
リース料債権は別除権付再生債権
再生債務者がリース会社との間で締結したリース契約が、フルペイアウト方式によるファイナンスリース契約の場合、リース料債権は、別除権付再生債権(民事再生法53条1項)として扱われます。
未払のリース料債権は、再生債権(民事再生法84条1項)です。そのため、弁済禁止効が働きます(民事再生法85条1項)。再生手続開始決定後は、再生計画の定めによる弁済しか認められません。そうすると、リース会社としては、リース料の不払いを理由にリース物件の引き揚げを要求してくることが予想されます。
弁済協定の締結
リース物件が事業のために必要不可欠な物件で、再生債務者が事業を継続するのに、新たにリース契約を締結するよりも現在使用しているリース物件をそのまま使用する方が、経済的な合理的であるという場合があります。
そのような場合、リース物件の引き揚げを阻止するには、リース料の支払について、弁済協定を締結して、リース料債権を共益債権として支払う必要があります。
なお、弁済協定の締結は、再生手続開始決定前ではなく、再生手続開始決定後に行います。
大阪地裁の運用
大阪地裁の運用では、弁済協定締結を裁判所の許可事項とはしていません。したがって、再生債務者の判断で、債権者と弁済協定を締結できます。
ただし、事業にとって必要不可欠でないリース物件について、弁済協定を締結して支払をすると、再生計画不認可事由(民事再生法231条1項)になることがあります。
そこで、あらかじめ裁判所に対して、リース物件について弁済協定を締結することの必要性について上申書などを提出しておくべきでしょう。前述のとおり、弁済協定の締結は、再生手続開始決定後に行いますが、事前に弁済協定の内容等について合意を得ておくと、手続が迅速に進むと考えられます。