破産法186条~191条に規定されている担保権消滅許可手続を取上げます。

担保権消滅許可手続とは?

 破産管財人は,破産財団に帰属する不動産を売却して破産財団の増殖を図ります。不動産に抵当権が設定されている場合,ほとんどがオーバーローンの不動産です。オーバーローン不動産は,そのままでは売却できず,競売手続になると売却価格が低額になります。

 実務では破産管財人が不動産の買主を見つけてきて,抵当権者と交渉の上,売却代金の一部を破産財団に組入れ,所有権の移転と抵当権の抹消を行っています。

 しかしながら,破産財団への組入額で担保権者と合意ができない,後順位担保権者が高額の抹消料を要求してくるといった弊害が生じることがあります。

 そこで,このような事態に対処するため,破産管財人の申立てにより,破産財団に帰属する財産について,担保権を消滅させ任意売却を行い,売却代金の一部を破産財団に組入れることが制度上,認められました。これが担保権消滅許可手続です。

担保権消滅許可手続の手続の概要

 担保権消滅許可手続の手続きの概要は,以下のとおりです。

担保権消滅許可手続の申立て

 担保権消滅許可手続は,裁判所に対する破産管財人の申立てによって行います。申立てに際して,担保権の目的である財産,売得金の金額,売却相手,消滅すべき担保権,破産財団への組入額等を記載した書面を提出します。

担保権者の保護

 担保権消滅許可手続に異議のある担保権者は,①担保権を実行したことを証明する書面を裁判所に提出する又は②破産管財人に対して担保権者又は他の者が管財人の申出た売得金より5%以上高額の買受申出額で担保目的物を買受ける旨の申出をすることができます。

 ①の場合,担保権消滅許可の申立てに対して不許可決定がなされます。②の場合は,買受を申出た買受希望者に対して売却するとの担保権消滅許可決定がなされ,売得金は裁判所に全額納付され,担保権者に配当されてしまいます。

担保権消滅許可決定

 上記①の場合以外,裁判所は担保権消滅許可決定をしなければなりません。

売得金の納付

 担保権消滅許可決定が確定したら,許可された売却相手は,裁判所の定める期限内に売得金等を裁判所に納付しなければなりません。期限内に売得金が納付されれば,担保権は消滅します。期限内に売得金が納付されない場合は,担保権消滅許可決定は取り消されます。

配当の実施

 売得金が納付された場合,裁判所は配当表等を作成し,担保権者に配当等を行います。