破産手続開始決定前に給与が差押えられたら(大阪地方裁判所での運用)


破産法では,破産管財人に否認権という権利が認められており、執行行為である差押えも否認権の対象とります(給与の差押えと破産手続き)。大阪地裁の運用はどうなっているのでしょうか?

大阪地裁の運用について

 破産手続における給与の差押えの取扱いについて、大阪地方裁判所の運用を見てみましょう。以下は、管財事件ではなくて、同時廃止として、破産申立てを行ったことを前提にしています。

支払不能後に債権者が回収している場合

 否認権を行使して、債権者から金銭を取戻すには、管財事件に移行させる必要があります。管財事件に移行するには、申立人は予納金を準備しなければなりません。そして、管財事件に移行したとして、必ずしも全額を回収できる保障はありません。

 以上を考慮し、大阪地方裁判所では、差押債権者に支払われた金額が40万円以上の場合、破産手続きへの移行を検討するとされています。

 なお、管財事件には移行させずに、債権者に按分弁済する方法も一定の範囲で認められていました。この場合、破産者の直接的な行為で財産が減少したのでなく、破産者の手元に財産がないので、20万円を超える部分が按分弁済の対象とされていました。

 もっとも、現在の大阪地裁の運用では、按分弁済を行うことは認められていません(大阪地裁における破産の同時廃止の運用基準の変更参照)。

取立ては未了で供託がされている場合

 差押が競合し、配当のための供託がなされているが、差押債権者がまだ満足を得ていないという場合は、否認の問題は生じません。供託金は、破産手続開始決定によって、破産者に返ってきます(破産法42条2項)。

 つまり、破産者は、給料の払戻請求権という財産を持っているということになります。払戻請求権が20万円を超える場合は、管財事件に移行します。

取立ては未了で供託もされていない場合

 この場合も否認の問題は生じませんし、この時点で管財事件への移行や按分弁済を検討する必要もありません。その後、差押債権者が満足を得たり、供託がなされた場合は、上記のそれぞれのとおりに処理されることになります。

早く破産申立てを行う

 給与が差押えられた場合は、早く破産申立てを行い、破産手続開始決定を得ないと、管財事件に移行してしまうリスクがあります。管財事件に移行すると、引継予納金を準備する必要があり、同時廃止に比べて多額の費用が必要です。

 そのため、早く、弁護士に相談して、破産申立ての準備に着手する必要があります。

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