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上告審における破産債権確定の訴え


上告審における破産債権の確定の訴えに関する最高裁判決を紹介します。

最高裁昭和61年4月11日判決

 給付訴訟の上告審係属中に、被告が破産宣告を受けたので、破産管財人が訴訟手続を受継した事案です。

 原告が、上告審において、給付の訴えを破産債権確定の訴えに変更できるか?が問題になった事案です。

事案の概要

 上告人は、昭和54年6月27日、訴外会社から同社の破産会社に対する昭和54年7月末日までの運送代金債権511万0,288円の譲渡を受け、同社は、同年6月28日ころ到達の確定日付のある書面をもって破産会社に対し、本件債権譲渡の通知をした。上告人は、同年7月6日、破産会社から本件債権のうち266万3,395円の支払を受けた。

 訴外会社は、本件譲渡通知ののち、同年8月8日ころ、上告人の債務不履行を理由に本件債権譲渡を解除し、そのころ破産会社に対し、その旨通知したが、解除が訴外会社の誤解に基づくものであることが判明し、同年9月1日ころ、破産会社に対し、前記解除を撤回する旨の通知をした。

 Aは、札幌地方裁判所において、訴外会社に対する債権に基づき、訴外会社の破産会社に対する本件債権中215万1,151円について、同年8月15日仮差押命令を、更に、同年11月1日債権差押・取立命令を得、各命令は、それぞれそのころ破産会社に送達された。

 破産会社は、前記解除通知を受ける以前に訴外会社代表者から本件債権譲渡契約を解除する旨聞き及んでいたので、解除は有効にされ、本件債権は訴外会社に復帰したものと信じていたところ、その後仮差押命令の送達を受けたのちに、訴外会社から解除の撤回の通知を受けて、訴外会社の一貫しない態度に不審を抱かなくはなかったが、更に債権差押・取立命令が送達され、かつ、当該命令により被差押債権の取立権者とされるAの代理人弁護士から再三の催告を受けて、裁判所の判断に過誤なきものと考え、当該命令に従って、同年11月21日、本件債権部分の金額をAの代理人に対して支払った。なお、上告人は、破産会社に対し、同年9月28日ころ支払催告書で支払請求したほか、その後、時折口頭の支払催告をした。

 上告人は、破産会社に対し、本件債権の残額244万6,893円とこれに対する本件訴状送達の日の翌日である昭和55年8月5日から完済まで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。

 第一審は、上告人の請求のうち29万5,742円及びこれに対する遅延損害金の請求部分を認容し、その余を棄却し、原審は、判決の上告人敗訴部分に対する上告人の控訴を棄却した。破産会社は、原審の口頭弁論終結後の昭和59年2月17日、札幌地方裁判所において破産宣告を受け、被上告人が破産会社の破産管財人に就任した。被上告人は、上告人から破産事件につき届け出られた本訴請求にかかる債権のうち本件債権部分及びこれに対する遅延損害金について異議の申立をした。

 上告人は、当審において、請求のうち異議の申立にかかる一、二審での敗訴部分につき、「破産債権を有することを確定する」旨の訴えの変更をし、被上告人において訴えの変更につき同意した。

最高裁の判断

 最高裁は、以下のとおり、訴えの変更は、有効だと判断しました。

 債務者に対する金銭債権に基づく給付訴訟が上告審に係属中に、当該債務者が破産宣告を受け、破産管財人が、届け出られた当該債権につき異議を申し立てて、上記訴訟手続の受継をした場合には、当該訴訟の原告は、債権に基づく給付の訴えを破産債権確定の訴えに変更することができるものと解すべきである。したがって、上告人の上記訴えの変更は有効である。


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