債権者破産の申立てと消滅時効に関する最高裁判決を紹介します。

最高裁昭和45年9月10日判決

 債権者による破産の申立てが消滅時効の中断事由となるか,債権者が破産申立てを取下げた場合,消滅時効はどうなるのかが問題になった事案です。

事案の概要

 消滅時効期間の経過前に,被上告人の先代が,外66名と共同で上告人両名を被申立人として破産の申立をし,その審理手続上,破産原因の存在を明らかにするため,債権の元利金の明細を記載した計算書およびその立証方法たる約束手形等を提出して,上告人らに対し権利行使の意思を表示したが,Aの相続人たる被上告人およびその余の選定者において,本訴を提起したのち破産の申立を取り下げた。

最高裁の判断

 被上告人の先代が破産手続においてした権利行使の意思の表示は,破産の申立が申立の適法要件として申述された債権につき消滅時効の中断事由となるのと同様に,一種の裁判上の請求として,当該権利の消滅時効の進行を中断する効力を有するものというべきであり,かつ,破産の申立がのちに取り下げられた場合でも,破産手続上権利行使の意思が表示されていたことにより継続してなされていたものと見るべき催告としての効力は消滅せず,取下後6か月以内に他の強力な中断事由に訴えることにより,消滅時効を確定的に中断することができるものと解するのを相当とする。破産申立の取下前にされた本訴の提起をもって,時効完成前にされたものと認めた原審の判断は正当である。