破産手続において、免責許可決定の確定後に、非免責債権であることを理由に、執行文付与の訴えをすることができるか?を判断した最高裁判決を紹介します。
最高裁平成26年4月24日判決
破産手続において、債権調査の結果、破産管財人が認め、かつ、届出債権者が異議を述べなかったときは、破産債権は確定します(破産法124条1項)。
その結果は、破産債権者表に記載され(破産法124条2項)、破産債権者全員に対して確定判決と同一の効力を有します(破産法124条3項)。
破産手続の終了後、破産者が免責許可を受けれなかった場合は、破産債権者は、破産債権者表を債務名義として、強制執行することができます。
この判決は、免責許可決定の確定後に非免責債権であることを理由に強制執行を行う前提として、執行文付与の訴え(民事執行法33条)が認められか?が争われた事案です。
最高裁の判断
最高裁は、以下のように、非免責債権であることを理由に、執行文付与の訴えを提起することはできないと判断しました。この場合、執行文付与の申立てを行うことになります。
民事執行法33条1項は、その規定の文言に照らすと、執行文付与の訴えにおける審理の対象を、請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合におけるその事実の到来の有無又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることの可否に限っており、破産債権者表に記載された確定した破産債権が非免責債権に該当するか否かを審理することを予定していないものと解される。
このように解しても、破産事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官は、破産債権者表に免責許可の決定が確定した旨の記載がされている場合であっても、破産債権者表に記載された確定した破産債権がその記載内容等から非免責債権に該当すると認められるときには、民事執行法26条の規定により執行文を付与することができるのであるから、上記破産債権を有する債権者には殊更支障が生ずることはないといえる。
免責許可の決定が確定した債務者に対し確定した破産債権を有する債権者が、当該破産債権が非免責債権に該当することを理由として、当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することは許されないと解するのが相当である。