破産管財人の当事者適格について判断した最高裁判決を紹介します。

最高裁平成13年7月19日判決

 破産手続開始決定後の破産者の不法行為に基づく損害賠償請求について,破産財団に関する訴えとして破産管財人に当事者適格があるかどうかが問題になった事案です。

事案の概要

 被上告人が,破産者の破産管財人である上告人に対し,主位的に,破産者が破産宣告を受ける前に締結された寄託契約に基づいて,被上告人が破産者に交付した株券及び金銭の返還を求め,予備的に,破産者が破産宣告を受ける前後にわたって行った,利益保証を約して被上告人を証券取引に勧誘した行為,被上告人に無断で株式の売買をした行為等が不法行為に該当すると主張して,損害賠償を請求した。

原審の判断

 主位的請求は棄却したが,予備的請求については,不法行為が成立すると判断して,第一審判決を変更し,被上告人の請求を一部認容した。

最高裁の判断

 被上告人の主位的請求に係る請求権のうち,金銭の返還請求権は,破産者に対して破産宣告の前の原因に基づいて生じた破産債権に当たり,破産手続によらなければ行使することができないから,被上告人は,上告人である破産管財人を被告として破産債権の確定を請求すべきものである。被上告人は,これを上告人に対する給付の訴えとして請求しているのであるから,その訴えは明らかに不適法なものといわざるを得ない。

 被上告人が予備的に請求する損害賠償請求権のうち,破産宣告の前の不法行為に基づいて生じたと主張する部分も破産債権に当たるから,この部分に関する被上告人の訴えも,上記と同様,不適法なものというべきである。

 予備的請求のうち,破産宣告の後の不法行為に基づく損害賠償を請求する部分は,破産財団に関する訴えに当たらず,破産管財人である上告人には当事者適格がない。したがって,この部分に関する被上告人の訴えは,被告とすべき者を誤ったものであって,不適法であることが明らかである。